「人は気持ち良さの中から産まれて気持ち良さの中に帰っていくんだ。」
と三浦理事長からお話をして頂いた事があった。丁度うちの娘が
産まれる直前だったように記憶している。
人間の生命を産み出す為のセレモニーがこんなに気持ちが良いことだ
というのは本当にハッピーな事であると思うが、それと同時に
この位ハッピーな事でないと人間を産み出すということは
ちょっとやそっとの喜びでは報われない苦悩も含んでいるのだとも思う。
妊娠中の妊婦さんは10ヶ月以上もお腹の中で子供を抱え続けなければ
ならないし、その間における肉体的・精神的苦痛はいかなるものかと思う。
残念ながら我々男性には一生味わう事の出来ない苦しみなのであるが
誰かが「出産の痛みを男が味わうとショックで死んでしまうらしいよ。」
と言っているのを聞いた事があるので、本当に命拾いをした思いである。
大変な思いをして産まれて来た赤ん坊を育てていくのも一苦労である。
所構わずギャーギャー無くし、自分で糞尿の始末も出来ないし、
食事だって自分だけ特別に手をかけて作られた離乳食しか食べれないし
昼間は「パパと遊ぶ〜」と言ってるかと思えば夜になると
「パパ嫌いママと寝る〜」とそっぽを向いてしまう。寝たかと思うと
また夜中に起きだして来ては「寝れぬ」といってはギャーギャー泣き出す。
少しずつ成長していくに従ってこれらの煩わしさからも解放され
それらの思い出自体も懐かしい思い出になっていくのであろうが
そんな経験をした事の無い若者に取ってはセックスがもたらしてくれる
快感のセレモニーが無ければ中々一歩を踏み出せないイベントに違いない。
また、子供を待ちこがれているご夫婦のセックスに対する向き合い方は
私などの遠く及ばないところだと思う。私の身内にも子供を授かる事の
なかった家庭はあるし、治療院でも妊娠するために何か良い方法はないものか
とわらをもつかむ思いで相談されにくる方も少なくない。
十人十色それぞれの感じ方があり、それぞれの目的があり
こればっかりは何が正しくて何が正しくないなどとは言えないが、
快感を得る事だけが目的のセックスというのは明らかに
その本質からは外れて来るようにも思う。