東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

感覚をききわけるということ

操体が快適感覚をその指針に定めてから、随分な年月が過ぎました。
当時は関係者の間でも物議を醸した、楽と快の違いという問題も、今では、操体はきもちのよさで治るという考え方が浸透しているかに見えます。

しかし、現場で直面する問題として、「感覚をきき分ける」という表現に戸惑いを見せる人が多いことがあります。
日常生活の中で、感覚を大事にする機会が少なくなっていること、他力による施術が一般的であり、受け身の姿勢である人が多いこと。
操体は、患者が医療者の立場に立つという特徴がありますが、やはり特殊なものであるようです。

感覚をききわけるということ自体は特別なことではありません。

初めて操体法を受ける方と、受けなれている方では、反応の早さ、ききわけのよさに違いがあります。
最初からスムースに動いて、きもちのよさをききわけてもらえるのなら、こんな楽なことはありません。
その事に対処できるかどうかがプロとアマの差であるのかなと思います。
施術者が心掛けるのは、いかにしてきもちのよさをききわけていただけるかということです。

新規の方の場合に、スペースの余裕がある場合に必ずやっていただくのが極性をききわけるということです。
例えば、おおまかに東西南北の四方向でどちらを向いて横になった場合がいいのか、からだにききわけてもらいます。
最初この話をすると、きょとんとして、不思議そうな顔をされますが、実際に試してもらうと、見事にききわけられます。
ここにヒントがある気がします。
頭で考えて理解できていなくても、からだはちゃんとわかっているんですね。

感覚は磨くもので研ぎ澄ますもの。
学習することで、からだの状態、変化に気付きやすくなります。

操者が快適感覚ということをどれだけ理解しているか、自分自身がわかっていない事を他人に理解してもらうのは無理があります。
操者がいかにして快適感覚をききわけることができるか、これもまた現場につながる課題であるのです。