今日は立春、暦の上では春ですね。
この時期になると中原中也の春宵感懐を思い出します。
「在りし日の歌」の中の詩。
高校生の時に初めて詩集を買ってから、上京した時も旅行へ行くときも常に手元に置いていたのですが、当時はあまり印象に残らず、そのまま忘れていました。
数年前に奥多摩の方まで行った帰りに、とあるサイトで一部を引用されているのを目にし、数日後たまたま聴いていたラジオで朗読が流れてきたのを耳にし、それ以来好きな詩の一つになっています。
最近思うところがあって、過去の手帳やらノートを見返しているのですが、その中に中也の言葉がメモしてありました。
常に人は自らで耕さなければならない
これは常日頃から三浦先生から諭されている言葉でもあり、橋本先生も治療所に籠って患者ばかり診てると脳みそがくさるぞと仰っていたそうです。
もちろん臨床は大事ですが、自分自身を耕し続ける事もまた忘れてはならないとの言葉です。
操体の臨床に生かせるように、アンテナをはってやわらかくやわらかくいろいろ吸収していきたいと思います。
春宵感懐
雨が、あがつて、風が吹く。
雲が、流れる、月かくす。
みなさん、今夜は、春の宵。
なまあつたかい、風が吹く。なんだか、深い、溜息が、
なんだかはるかな、幻想が、
湧くけど、それは、摑めない。
誰にも、それは、語れない。誰にも、それは、語れない
ことだけれども、それこそが、
いのちだらうぢやないですか、
けれども、それは、示かせない……かくて、人間、ひとりびとり、
こころで感じて、顔見合せれば
につこり笑ふといふほどの
ことして、一生、過ぎるんですねえ雨が、あがつて、風が吹く。
雲が、流れる、月かくす。
みなさん、今夜は、春の宵。
なまあつたかい、風が吹く。
<<