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東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

沈黙の意志と臨生の意識

岡村郁生(おかむらいくお)

”絆”について三浦理事長は語っていた。
「”意識”の絆とは、”イノチ”の絆である」
「意識の絆の立ってこそ、イノチの絆という平等の絆に立てる」・・・と。

孔子論語のなかでも、君子の最高の徳として「仁」を挙げているのだが、
このことについてある中国文学者は、「仁」とはその時のごとく二人の人間であり、
人間と人間とのあいだで最も大切なことをさしてしている、と説明していた。

私自身も、天然の摂理を感じ、人間と人間のあいだに生じてくる関係性、
ソレを自然の法則に則って繋げていくこと、理に適う感受性にこそ、
「仁」となりうるのではないだろうかと思っている。

脳を介して人の話を聞く。
脳で聞き流していく、脳で聴いていく。
これは当然のことながら、同じ内容でも全く異なってくる。
これは証明されて、”脳の血流状態”からも明らかになった。
(例:情報として流れるテレビを見ていても脳の活性化は起こりにくい)

そういえば今年の正月。
百人一首を覚えるという宿題を、二人の娘達と共に愉しんでいたとき、
私自身の左耳にピンと聴いてくる感覚をうけたのは、権中納言敦忠の詠んだ一首だった。
「逢いみての 後の心にくらぶれば 昔は物を おもわざりけり」

このように感覚が増えていくなんて、そんなこともあるのだろうか?
いやたしかにある。その一つには恋愛ごと、特に人に恋をする、あの感覚はわかりやすい。
それならば感覚が増えたり減ったりするのではなく、”自在”から生じているとして観るとどうなのか?

然り、意識のありようである。つまり、感覚そのもののあり方、受け取る仕組みの変化そのものだろう。
その変化を生じた理由の一つに、“皮膚の働き”を挙げてみたい。
この皮膚に決定的な特徴として、酸素不足によって感覚障害を受けやすいことがある。
要するに皮膚に意識を通せることは、循環不全と栄養不良を素早く改善しうる働きを持ち、さらに感じ取る能力があるということだ。

生物の発生学的にとらえれば、皮膚は脳や五感と同じ外胚葉性であり、
中胚葉とは、循環器系・泌尿生殖器系であり、
筋系・骨格系、内胚葉とは、呼吸器系・消化器系・尿路系で成り立っている。

これを踏まえ外胚葉由来の組織は、内胚葉系・中胚葉系と常に連絡し合い、
統括し、管理して、調整しているバランスセンサーの働きも多いにある。
外にある臓器(=外臓)として全身くまなく包んでいる皮膚組織は、
第三の脳と言われており、現在非常に研究が進んでいても、未知な部分が多いのである。
そう観ていると、ノーベル医学賞を受賞した山中教授のIPS細胞も皮膚を介し、興味深い。

閑話休題
ここで、私自身感銘を受けたオヒイェサ(ネイティブアメリカンの作家)の言葉をあげてみよう。

 沈黙によって、体と精神と魂と、完全なる均衡が保たれる。
 自分の存在を、一つの統一として保っていられる人間は、
 生活にどんな波風がたとうとも、いつまでも平静で動揺しないでいられる。

 木の葉が揺れても、湖のきらめく水面に波紋が起ころうとも、平静でいられる。
 文字を持たなかった私たちの賢者にとっては、これこそが理想の態度であり、
 最上のふるまいだったのである。

「沈黙とは何ですか」と問われたら、賢者はこう答えるだろう。

「それは大いなる神秘だ」「聖なる沈黙、それは大いなる神秘の声なのだ」

「沈黙すれば、なにが得られるのですか」と問われたら、賢者はこう答えるだろう。

「それは、自分を自分自身を支配すること、
 真実の勇気であり、持続力であり、忍耐力であり、品位であり、敬意なのである。
 沈黙は、人格の礎石である」・・・・と。      
                  
私自身語るなら、これに関与しているのも皮膚であり、
意識の感受性であり、生命の意志に関わってくる。
だからこそ、橋本敬三先生も「これからは、動きより感覚の勉強をしなさい」といわれたのではないか。
これからも、いや・・・ここから操体を学ぶのなら、
快適感覚と原始感覚、そして人間の意識感覚を磨いて頂きたい。

その為にどうしたらいいのか。
ヒントはしつこいほどに今週のブログに書かせて頂いたつもりだが、ハイいってみよう!

来たる4月28日、東京の千駄ヶ谷駅の目の前。
津田ホールにて『春期東京操体フォーラム』は開催します。
なんといっても今回は、実行委員の手ほどきによる実技指導があるという噂・・・ではなく、
実行委員長みずから書いているんだから間違いありません・・・というか決定(笑)です。
是非、自分という感覚そのものの捉え方を変えるチャンスを、皮膚で掴んで頂ければ幸いです。

・・・ということで、一週間のおつきあいありがとうございます。
明日からは日下実行委員の登場です、お愉しみに!