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東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

プロ意識とプロ根性⑥

 からだの不調を訴える一人の男がある療術家を訪ねて自分のことについていろいろと話をした。 自分は菜食主義者であるとか、アルコールには一度も触れたことがないとか、煙草など一度も吸ったことがないとか、あれやこれやと話をした。 

 

 すると、療術家は言った。 「もし私のもとで本当にからだの不調を治そうと思うなら、あなたはすべてを私の手に委ねなければならないが・・・・・・。」 この男は療術家がどんな種類の人間か気づいていなかった。 それでこう返事をした。 「結構ですとも! 私はあなたの許に来たのです。 すべてを任せます。」

 

療術家は言う。 「それではまず、最初に今から肉を食べなさい。」 この男の困惑は大変なものだった。 男には信じられなかった。彼は療術家が冗談を言っているかと思った。 「あなた・・・・・・、 あなたは本気でおっしゃっているのですか?」

 

 療術家は言う。 「そうだ、これがあなたのエゴを壊せる唯一の方法だよ。 あなたの採食は本当の採食ではない。 それはエゴの一部にすぎない。 だからこれからあなたは肉を食べ、できる限りたくさんアルコールを飲み、煙草を吸いなさい。 そしてすべてを私に任せることだ。」

 

 療術家がこんなことを言うなんて信じられないというかも知れない。 しかし、信じられないという人が考えている療術家というのはあまり賢くない人達だ。 療術家はこうしてこの男を実際に助けたのだ! というのもそれがまさに元凶だったからである。 その男は健康というものにあまりにも取り憑かれていたのだ。

 

 菜食主義者とか禁酒主義者、煙草を吸わない人、こういう人たちには何とも微妙なエゴがある。 微妙なエゴが及ぼす害はアルコールの害よりずっとはなはだしい。 この男は療術家の言うとおりに従った。 非常に難しいことだった。 吐き気を催しながらも一度任せると言った限り、男は言われたことに従った。 三週間の間に男は変身を遂げた。

 

 療術家が肉食やアルコールを強いたのは、からだの化学的性質を変えようとしていたのだった。 また、精神的にはその男のエゴを壊そうとするためだった。 男は少しずつ、肉食を落とし、アルコールを落とし、そういった類のすべてを落としていった。 今までの採食は本物でないと気づくことができ、そして初めて採食するようになった。 

 

 このように療術家は、もし人を助けようと思ったら、非常に上に非常に賢くあらねばならない。 プロ意識をもち、常識に流されないプロ根性が必要だ。