首と肩のコリで週一回ペースで通っていた30代の女性
モンク裕子(ユウコ)さん(仮名)がいました。
通っていたといっても昨日で四回目の治療です。
三回目で見違えるほど良くなったようなので、ここで
紹介してみます。
「治療」などとは言っても私の所では治療らしいことは
あまりしません。
しませんというよりホントは出来ないだけなんですけ
どね。
治療といっても私はできるだけ患者さんが自分でも家で
できる方法を覚えてもらうように心がけています。
これは温古堂時代からの習慣です。
いろいろとやってもらって、患者さんが一番心地よかっ
たと感じた操法を最後に言ってもらって、それを復習す
ることが多いです。
モンク裕子は、肩の上げ下げと腕のねじりが気持ちが
良かったというので、それをこーしてあーしてと教えて、
自分でもやってみるように指導していたのでした。
これが一回目と二回目の治療。
ところがこのモンク裕子ったら、治療の五日後になると
また肩と首のコリ感がでてくるとモンクをいいました。
三回目の治療の時もやっぱり治療の前々日から首のコリ
がひどくなって、その日は右耳がぼわーんとして聴こえ
なくなったとのことでした。
ありゃりゃ、と思って私は一通り操法をやったあと、
どんな感じかをたずねたら、少しだけ聴こえやすくなった
みたいだけどまだボワーンとしているとモンク。
ここからなんとなく私のお説教タイムが始まったのです。
「おまえなぁ、言葉が悪いなー!コトバを変えなきゃ
ダメダぞぉ!」などとは決して私はいえません。
にこにこしながらこう言いました。
「あのねぇ、ありがとう、ってどういうときに言うのか
知ってた?」
「ええっ」と少し驚き、「ありがたいと思ったときです
よねぇ?」とモンク。
「じゃあ、ありがとうって漢字ではどう書く?」
「へへっわすれたー、どんな字でしたっけー」
「正直だなーモンクは、たいしたもんだー」
「有難(なんあり)って書くでしょう」
「はいはい、そういえばそうですねー」
「たから、ホントはつらいときや困ったときに言う言葉なんだよ」
「昔の人はちゃーんと知っていてこの漢字を使ったんだろうね」
「物をもらったり、いいことがあったときにだけ使っていたで
しょう」
「はい」
「困難に出合った時、ありがとうって言うのが本当なんだねー」
「へぇー、はじめて聞きましたー」
「最初は言葉だけでいいんですよ、思っていなくてもいいからねぇ
ありがとうとか、楽しいなーとか、幸せだなーとか、少しずつ
言っていると、だんだんわかってくるんだ。
だってよーく考えてみればありがたいことだらけなんだもの」
「思っていなくてもいいんですかー?」
「はい、いいんです」
「あれっ、私の主人はいつもそんな感じで言っていますねぇ。でも
私は文句ばっかり言っています。だって文句言いたいことが多いん
だもの〜」
「わははは、まぁためしにやってみな。言うだけだから簡単でしょ」
「いつもありがとうね。とか今日も楽しかったーとかとご主人に言
ってみればいい」
「言われたご主人も気分がイイし、何よりあなたのからだの細胞が、
それを聞いて喜ぶよ〜。コリがふにゃ〜ってほぐれるかもね」
「はい、なんか不思議ですけど、おもしろそうなのでやってみます」
そんなこんなでモンク裕子は半信半疑な顔で帰ったのでした。
そして一週間、四回目の治療の日。
モンクがどことなく元気そうで、モンクをいいません。
「こんにちわー」と、にこにこ明るいのです。
「ためしてみましたかー?」
「ええ、ちょっとだけ」と微笑むモンク。
からだを診てみると、なんと首肩のコリがほとんどありません
でした。
「最近、なんか調子いいんですよー!耳も次の日良くなりましたー」
モンク裕子は、見事「ハッピー裕子」になったのでした。
今 昭宏
東京操体フォーラム実行委員ブログ(仮)は
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