東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

不死者たち

お盆なので、橋本先生もこちらに戻ってこられているかもしれない。

はるか昔より、時空を越えることができたのは「大いなる存在」か「呪われた者」だったのではなかろうかと思う。

さまよえるオランダ人」というのを聞いたことがあるだろうか。イギリスの伝承で、アフリカの喜望峰近くの海で、船長が風(あるいは神)を罵って呪われた。船長は1人で永遠に(あるいは審判の日まで)さまよい続けることになった、というものである。「パイレーツ・オブ・カリビアン」にも出てきた様な記憶が。

インモータル(immortal)というのは「不死者」のことである。もしくはギリシャ、ローマの神を指す。
私が一番先に思い浮かべるのは、アン・ライスの「ヴァンパイア・クロニクルズ」だ。Immortalという言葉は、原書を読んで覚えた単語である。ちなみに、確か私が原書で読んだ2冊目の本ヴァンパイア・クロニクルズの第3作目"The Queen of the dammed" 「呪われし者の女王」だった。

呪われし者の女王〈上〉―ヴァンパイア・クロニクルズ (扶桑社ミステリー)

呪われし者の女王〈上〉―ヴァンパイア・クロニクルズ (扶桑社ミステリー)

クイーン・オブ・ザ・ヴァンパイア 特別版 [DVD]

クイーン・オブ・ザ・ヴァンパイア 特別版 [DVD]

映画化もされているが、原作とは結構かけはなれている。映画は映画として楽しんだほうがいい

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%82%B9

ヴァンパイア・クロニクルズ
アン・ライスの作品のうち、ヴァンパイア・レスタトを中心に、彼を巡るヴァンパイアの仲間達を描いた一連の作品。後には脇役のメンバーが主人公となったスピンアウト作品もある。ヴァンパイア・クロニクルズに並ぶ「メイフェア・クロニクルズ」(十数代にのぼるメイフェア家の歴史を描いたもの)とも途中でリンクしている。緻密な歴史の描写は時を忘れてしまう程面白い。

ライス女史が「インタビュー・ウィズ・ザ・ヴァンパイア」(トム・クルーズとブラット・ピット主演で映画化)を書いたきっかけは、幼い娘を白血病で亡くしたことによる。人を生かす血液が何故人の命を奪うのか、そんな中、僅か二週間で書き上げたこの作品は大ヒットした。それまでヴァンパイアものと言えば、「ドラキュラ伯爵」とか「吸血鬼」という昔のホラー映画のようなイメージが一般的だったが、ライス女史が創造したヴァンパイアはそれまでのものとは全く違っていた。まず登場人物は皆美貌の持ち主である。墓場に住んでいるわけでもなく、十字架もニンニクも平気で、優雅な暮らしをしている。テレポーテーション能力や、読心術を操ることができる。昼間は棺桶の中で眠っているのはお約束だが、レスタトに至ってはサハラ砂漠で日焼けまでしている。型破りのヴァンパイアなのである。

インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア [DVD]

インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア [DVD]

夜明けのヴァンパイア (ハヤカワ文庫NV)

夜明けのヴァンパイア (ハヤカワ文庫NV)

原作。翻訳が「美形ヴァンパイア」っぽくないのが残念。この本以降の翻訳者、柿沼瑛子氏の翻訳は素晴らしい。

「不死者」というと、西洋では神に呪われ、永遠にさまよい続けるという意味があるようだ。「インタビュー・ウィズ・ザ・ヴァンパイア」では、ニューオリンズの農園主、ルイ(映画ではブラット・ピットが演じた)が、弟の宗教的自殺によって自暴自棄になっている時に、ヴァンパイア・レスタトに目をつけられ、不死者として生まれ変わる(なお、映画では「妻がお産で亡くなって自暴自棄」と、変更されている)。不死者になった者は、最初皆その「不死」という状況が受け入れられないようである。これは多分キリスト教の教えもあるのかもしれない。ヴァンパイアの掟で、自分の創造者(自分を不死者にしたもの)を破壊してはいけない、子供を不死者にしてはいけない、というものがある。ルイは人間の血を拒み、ネズミの血をすすっているが、ある日、病気で死んだ母親の側で泣いていた6歳の少女、クローディアを発作的に襲ってしまうのだ。ちなみに、クローディアのモデルは、ライス女史が白血病で亡くした娘、ミッシェルだと言われている。演じているのは、何故か日本の男性には人気がない?、スパイダーマンの思い人、MJこと、子役時代のキルスティン・ダンスト。6歳の少女のからだに、大人の女性の知性が宿っているのは残酷なことであり、これが悲劇の発端となる。

一方、中国では「不老不死」の研究が進められていた。徐福(秦の始皇帝の命で、東海の三神山に不死の仙薬を求めたという伝説上の人物。日本に渡来、熊野また富士山に定住したと伝える)は日本に来たと伝えられている。結局不老不死の仙薬は見つからなかったのだろう。
日本と言えば、そういえば日本神話に出てくる神様は皆寿命を全うしている。これは多分「おかくれ」になった後も神社にお祀りされ、鎮座されているということだろう。
日本で「不死」と言えば、人魚の肉を食べて不死となった娘の話がある。八百(やお)比丘尼の伝説は日本中に残っているそうだ。

夢枕獏原作、岡野玲子画の「陰陽師」の中に八百比丘尼が出てくる。彼女は枯れない泉でありずっと若々しい。比丘尼は自害を試みるが命を絶つことはできないのである。また、30年に一度穢れを祓わないと鬼女と化す、という運命も背負っている。

陰陽師 (9) (Jets comics)

陰陽師 (9) (Jets comics)

9年前に手放してしまっていたのだが、iPad2を購入したのをきっかけに、「自炊」して「電子化」した。

やはり「あの世」は、橋本先生が言われたように「みんな行くんだから、きもちいいところに決まってる」のだろう。



来週末はいよいよ「東京操体フォーラム in 京都」です。

畠山裕美

東京操体フォーラムin京都2011は8月28日(日)に開催されます。北村翰男(奈良漢方治療研究所、奈良操体の会)、三浦寛

Sotai Forum inMadridは、9月24日、25日の二日間、マドリードにて開催致します。三浦寛

2011年秋季東京操体フォーラムは11月6日(日)、東京千駄ヶ谷津田ホールにて開催予定です。