東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

無意識について・・・2。

おはようございます。
 朝のお目覚めはいかがでしょうか。寒くなってくると、なかなか布団から出たくなくなってきますが、目覚まし時計が鳴ってから、あと10分あと5分あと1分、ガバッと起きる、大慌てというのは、あまり良くないですよね。車だってオートバイだって、いきなりガバッとアクセル全開にしたら走りません。しかし、人間の場合ある程度、間に合っている健康状態であれば、それができてしまうんですよね。そして、それが当たり前と思えてしまう。けれど、それって当たり前ではないんですね。法則があるんですものね。法則違反をすれば、からだは何らかのサインを出しますが、いつも大慌てで、それを無視していると、そのうち当たり前と思っていたことが、当たり前に出来なくなってきてしまいます。本当は有難い事なんですよね。操体を学んでいると、つくづくそう感じます。夜寝ている間にも、からだの無意識はバランスを整えてくれているんですものね。その働きに報いる為にも、法則に則った、からだの使い方、動かし方を朝起きる時から意識する、ということですよね。法則を意識して動こうとすれば、からだの感覚をききわけながらとなりますから、当然ゆっくりとなります。だから少し早めに目を覚ますこととなります。面倒くさいと思うかもしれませんが大丈夫です。からだの無意識の有難さを想い、何時に起きなきゃとしっかり意識すると、そのうち目覚まし時計の少し前の時間に、パッチリと目が覚めるようになってくると思います。昔から早起きは三文の得と言うではありませんか。その三文は毎日の複利により莫大な利子と元本になるかもしれませんよ。

 前ふりが長くなってしまいましたが、橋本敬三先生が「生体の歪みを正す」の310ページに書いている文章を抜粋します。
私どもが眠ると、ほとんどすべての人は、さまざまな寝相を示します。それも時々刻々変化します。これは潜在意識が力学的に体の歪みを調整しているのです。ですから、寝相が悪いといって子供の寝相をなおしてやると、せっかくの自らなおそうとしている、それこそ天の御中主(+)(−)のバランスの神様の邪魔をして、疲れがとれないで、翌朝、子供の機嫌が悪いことがあります。大人でも同様であります。

余程の動きの達人でない限り、活動中に様々な姿勢で動作し、或る一定の組織の疲労や骨格関節をはじめとするからだの歪みを生じさせている。

* 疲労に関して橋本先生は、疲労というのは或る一定の組織に老廃体液が貯溜  して、異常(+あるいは−)な緊張感覚が起こるものと思う。と「生体の歪みを正す」の106ページに書いている。

 その疲労や骨格関節をはじめとするからだの歪みを、寝ているときに様々な寝相をすることにより、体重力を利用して、骨格関節をはじめとするからだの歪みを調整し、疲労を和らげている。これは、からだの無意識の行なってくれていることであり、無意識以外にこれ程のことは出来ない。
 この310ページの抜粋した文章には、潜在意識とか天の御中主(+)(−)のバランスの神様という言葉が出てくる。このことからも、無意識とは単に意識のない状態のことを指しているのではない。無意識のうちに何が在り何が起こっているか、という事が重要なのだ。
 潜在意識は、心の極く表面に現れている氷山に一角のような表在意識と違い、無数の記憶と経験を包蔵しており、単独自己のみならず全人類をふくむ宇宙意識と根底において連なっているという。正にからだの無意識であると思う。からだの無意識は全人類共通であり、宇宙現象創生の中心理念が普遍貫通したものであると思う。
天の御中主とは古事記に出てくる神様の名前だが、宇宙現象創世の中心理念を指す。理念をもって(+)(−)が設定され、異質のもつ親和反発性すなわち愛と調和により、万象は具現化されたのであるから、(+)(−)のバランスの神様という表現は、大変に的を得た言葉であると思う。
無意識というのは、正に人間に与えられた天恵であると感じられる。単独自己のみならず、全人類の味方であると思う。そして、良くなるように良くなるように動かしてくれたり、誰にでも愉しんで生を全う出来るように働きかけている。どう働きかけているかといったら、宇宙現象創生の中心理念を現象の世界の人間にもわかりやすいように、自然法則というかたちで働きかけている。自然法則を尊重した上で、現象の世界を生きようとすれば、現象の世界でも愉快で調和した象を現せる。しかし自然法則を無視して、現象の世界での単独自己の我の欲望ばかりを優先させると、中心理念から離れてしまう。中心理念から離れれば、バランスの崩れになるということだ。バランスの神様は、みんなに普遍して貫通しているのだから。だから、寝ているときをはじめ、無意識のうちにバランスの神様が、からだを調整してくれているとはいえ、それを当たり前とせず、バランスの神様の意志を尊重する事が最も重要なのではないでしょうか。


2012年秋季東京操体フォーラムは11月18日(日)津田ホールにて開催。