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東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

落ち葉焚きより・・・なにも足さない、ありのまま。

おはようございます。

昨日、焚き火を見ていて、ふと、道元の言葉も思い返されていました。
「たき木、はひとなる、さらにかへりてたき木となるべきにあらず。しかあるを、灰はのち、薪はさきと見取すべからず。しるべし、薪は薪の法位に住して、さきありのちあり。前後ありといへども、前後裁断せり。灰は灰の法位にありて・・・・」

 この後、生死観を表す文章へと続くわけですが、生死観を表すのになぜ薪と灰の関係をあげているかというと、一番身近で誰でもイメージしやすいものだったからだと思います。現代では薪や灰は、めったにお目にかからなくなったが、当時は両方とも暮らしに欠かせないものだったと思う。

「たき木、はいとなる、さらにかへりてたき木となるべきにあらず」当時の人達も、経験上そんなことは当たり前と捉えたと思う。たき木が「燃えて」灰になってしまったのだから、元に戻らないのは当然、と暮らしの経験上感じたと思う。

 しかし、道元は「燃えて」とは言っていないのである。「薪が燃えて灰となる」ではあまりにも唯物的になってしまうと感じる。言わなくていいことは言わない。言わないが、聞く人への配慮も忘れない。それが「しかるを、灰はのち、薪はさきと見取すべからず」という言葉に表れていると思う。自分の哲学を理解している人にも、そうでない人にも、つうじる言葉をつなげる。この文章には、そんな思慮の深さが窺がえる。

 では、道元の哲学の根本を成すようなものは、どういったことなのだろうか。私は、「鳥の命は鳥にあらづ空にあり、魚の命は魚にあらづ水にあり」という言葉に表されるような哲学だと思う。存在を単に存在として捉えずに、その存在を生かしてくれている存在が必ずあり、そうでなければ生命は成立しない、そうしたつながりというか、法というか、縁というか、そういったものが自在してある。自分以外のそういった存在や自在してあるものこそイノチである。というような哲学。本質への求道心なのだと思う。

 道元のこのような哲学、「想い」は一貫しているように感じる。それは礼儀、作法に厳しかった面にも窺がえる。決して、威張りたくて、自分を権威付けたくて、厳しくしていたのではない。そのものに対する愛情や、そのものを包み込んでいるイノチにやさしくあれ、と思えばこそであり、それをいい加減にすることを厳しく諌めていたのだと思う。

 そういったことを踏まえると、「薪が燃えて灰になる」というように、ひと言加えて暮らしの経験則に当てはめてから入るのではなく、そのまま素直に「たき木、はひとなる、」から入ったほうが「薪は薪の法位に住して、さきありのちあり」という言葉がすんなり入るし、法位の意味も輝きを増すと感じる。「前後ありといえども、前後裁断せり」は非常にインパクトのある言葉だが、これも道元の配慮の言葉のように感じる。
 「前後ありといえども、前後裁断せり」という言葉を抜き出し、時間観に当てはめ「過去に捉われず、未来を恐れず、今を精一杯生きる」と解釈して、行動力の糧としている人もいると思う。それはそれで良い事だと思う。ただ、「法位に住して」という言葉がある以上「生かされて生きる」という事を念頭にしなければならないと思う。

 「法位に住して」という言葉から、操体創始者、橋本敬三先生の言葉が浮かんだ。橋本先生は、著書の中で「生命現象の生物の組成を逆に考えてみるならば、生物の世界は有機の世界から生まれる。有機は無機の世界から、無機の原子は・・・・・・・中略・・・・・・・各世界には、ひとかわ上の世界が入り込み、また各世界には第七天の太極が普遍貫通していることになる」と書いている。
 薪は有機、灰は無機。「法位に住して、さきありのちあり、前後ありといえども、前後裁断せり」
 また橋本先生は「どんなものにだって、意識と意志がある。石ころにだってバランス感覚はあるのだ」と語っていたと聞く。

 橋本哲学と道元の哲学、合いつうじるものがあると思う。お二人とも真理をズバッと言葉にするものだから、自分の経験側に落とし込んで簡単に理解しようとしても、なかなかそうはいかない。固定観念を捨て去り、まっさらな気持ちで向き合うことも大切だと思う。

 昔、ウィスキーのCMで「なにも足さない、なにも引かない」と言っていたものがあったのを思い出した。これには続きがある。「ありのまま、そのまま。この単純の複雑なこと」


「2014年秋季東京操体フォーラム
今回は11月22日(土)23日(日)の二日間開催いたします。
メインテーマは「操体進化論」。
22日は満席となり、締め切りとなりました。
23日は参加可能です。ご参加希望の方は、お早めにお申し込み下さい。
詳細は以下、「東京操体フォーラムHP」をご確認ください。
http://www.tokyo-sotai.com/?p=813