こんにちは。
今回のブログ担当も、今日で最後となります。今週は雪がチラついたりして、底冷えした日もありましたが、ようやく春の足音が感じられるようになりました。風も少し暖かくなり春の匂いを感じます。紅梅のつぼみも、知らぬ間に膨らみ、ようやく花開いてきました。
春の匂いのする風というのは、なんだか気持ち良いですね。そういえば、やさしい言葉のことを「春風心」と言うそうですね。春風のように、ふんわりと人を包んであげる言葉という意味だそうです。せっかく春がすぐ近くまできているのですから、そんな言葉を心掛けたいですね。
鎌倉時代の禅僧、道元は「正法眼蔵」という書物を遺されました。「正法眼蔵」の菩提薩埵四摂法に愛語の項というのがあります。
ここで、それを書き出すということはしませんが、道元の「愛語」に感銘を受けて、その愛語の精神を生きる指針とし、身をもって実践した人が、江戸時代の良寛和尚だといいます。
やはりココロにヒビク、コトノハというのは、時代を経てもイノチをもち、新たな現象を生じさせるのですね。
また、現代では酒井大岳という方が「正法眼蔵の愛語に学ぶ」という本を出されています。冒頭の「春風心」という言葉は、この本からでした。春風心は母の愛だといいます。
父の愛はというと「秋霜心」。こちらは、きびしい言葉。身が引き締まり、目覚めさせ、変えてゆく力をもつ言葉。
父の愛の言葉は、その時は反発もあるだろうが、将来の発展につながる言葉でなければならない。そして母の言葉も、その時はほっとしても、後々怠惰につながってしまうようではいけない。
母の愛の言葉も父の愛の言葉も、その場しのぎとか、その場限りの言葉ではないということ。時空の間を超越して、より良くなるものなのだ。
母の愛と父の愛、2つ揃えば功徳は無尽蔵。そしてそれは、イノチを紡ぐ自然のなかに在る。母親と父親の親の親の、そのまた親。陰(−)と陽(+)を設定し、おおいなる自然を創りたもうた、おおもとの親の愛にある。
それは太極であり、その理念である愛と調和なのだ。そしてそれは、自然法則の内に在る。
酒井大岳氏は「正法眼蔵の愛語に学ぶ」の中で、このようにも書いています。
「真実の愛語は、自然の法則、宇宙の法則に反する世界にはないのです。人間だけでなく、一切のかかわりあいの不思議にしっかり目を向けたうえでの『愛語』でなければなりません」
「真の愛語は、自然の法則の外にはなく、たとえその場でうらまれても、先の先へいってかならずほんとうの喜びをもたらすものです。そしてその愛語は、決して1対1のことにとどまらず、いつの時代(永遠)の、だれの心(普遍)をも、しっかりとうなずかせるちからをもつものでなければなりません」
道元の良寛も橋本敬三も、おおもとの親の愛の学びに、その生涯をささげていたのだと思います。
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今回は、このへんで終わろうと思っていたのですが、今朝、新聞を見ていて素敵な詩があったので紹介します。
産経新聞朝刊より、朝の詩。
手
東京都杉並区
松崎 義行 50
私の手を包んでくれた
あなたの手
私の手が
おぼえている
あなたの
冷たい手の温かさ
(選者 新川和江)
*敬省略
一週間どうもありがとうございました。
明日からは中谷さんの担当となります。
来週もどうぞよろしくお願い致します。
「2015年春季東京操体フォーラム」開催決定
4月29日(祝)に開催いたします。
『目からウロコ』のプログラムを企画しております。
詳細は以下、「東京操体フォーラムHP」をご確認ください。
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