東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

「わたしにふれてください」

こんばんは。森田@最終日です。


 今週は本門寺をよく歩きました。
なぜなら7/5~7/19の約2週間、「500個の風鈴の音を聴く」という催しがあり、参道の木々に風鈴が渡してあるからです。
500個もの風鈴なんて、風の強い日などはうるさいのではないかと思っていましたが、全くそんなことはなく、むしろ全体で1つの音のように聞こえるのが不思議です。500以上に増やすとうるさくなることがわかっているのでこの数なのだそうですよ。

涼しげで、音によって空気が変わる体験ができます。
夜もライトアップされていて幻想的です。今年で2回目。今後も続いて欲しいイベントです。



 ところで、三浦先生の日記にもありましたが、秋の東京操体フォーラムので配布するVisionSの原稿が概ね集まりました。これから原稿チェックに入ります。
VisionSは、操体をともに学ぶ20人以上の仲間が、臨床や生活の中で感じたことをつづっています。今回で7冊目になりますが、回を追うごとにその人らしさがのびのびと伝わってくる作品ばかり。行間からその人の息づかいや空気が感じられ、操体を知っている人にも、そうでない人にも読んでもらいたい濃い冊子に仕上がる予定です。


 とはいえ、私だけかもしれませんが、〆切前は日常生活の合間を縫ってう〜んう〜ん、と頭をひねってました。「今回は何を書こうかなあ」と。
もちろん、ぽこぽことネタはいくつも浮かぶのですが、今回は書き出してしばらくすると、違うネタが気になったり、考え方が変わり苦労しました。

正直言って、自分の原稿を読みなおしてみると、まだまだ消化不良な文章であるのを感じます。書き終わった後から「もっとここは説明すべきだったか」「くどいから削りたい」と感じます。
いや、前向きに言い換えてみましょう。「この原稿は生きることを考えるプロセスを切り取ったものなのだ」と。常に変化をしている私のごちゃごちゃした瞬間をリアルに表現した作品になっております!

…ちょっといいわけがましいですか。
もちろん読み手のことを考えてベストは尽くしております。


 東京操体フォーラムの実行委員になってから、とにかく文章を書く機会が増えました。時には大変だと感じることもありますが、書き終えた後は確実に一歩進歩していますから、文章を磨くチャンスをいただいていることに感謝してます。
特にVisionSのように、年に1度、全実行委員で「書いて残す」という作業は、日々の小さな気づき達をうまくまとめて発展させてくれる機会です。チャレンジの楽しみもあり、いい緊張感があります。


 ところで、原稿を書いた後に、Phyllis K. Davisの詩「わたしにふれてください」という詩に出会いました。訳は三砂ちづる、絵は葉祥明です。三砂氏は、ブラジルで「国際協力事業団ブラジル家族計画母子保健プロジェクト」に参加し、助産婦を育てるコースの最後に、トレーニング担当の方から聞かせてもらったのだそうです。

 この詩は人生のどの時代においてもふれられることが必要なのだということを描いています。読んでいると、自分が赤ちゃん、男の子、おじいさんだったら、こうしてもらいたいという気持ちを肌で感じるような気持ちになります。言葉でイノチの治る力を高めることができる。これは元の詩だけでなく三砂ちづるの「感情のいきおいで訳した(本人談)」訳だから、とも言えます。
VisionSでも三砂氏の著作を引用させていただいていますが、この方の文章には、イノチに対する思いやりの深さ、やさしさ、ていねいさ、まるさが醸し出されていて好きなのです。



詩の後半にこんな1節があります。


「もしわたしがあなたの年老いた父親なら
どうぞ、わたしにふれてください

あなたが小さかったときにわたしがあなたにふれたと同じように
わたしの手をにぎり、わたしのそばにすわって、
わたしを力づけてください」

ここまで読んで、何か思い出さないでしょうか。ブログを毎日読んでくださっている方ならもうお気づきのはず。
そうです、5月20日の平さんの日記です。

「手紙〜親愛なる子どもたちへ」
http://d.hatena.ne.jp/tokyo_sotai/20090520#1242774354

わたしの中で、2つの詩が出会ったことでちょっとした化学反応が起きています。
なにがどうつながっていくか、まだわかりませんが、目に見えない何らかの成長の機会ををVisionSがわたしに与えてくれているのではないかと思います。



皆さんも、「わたしにふれてください」を是非読んでみてください。



1週間のおつきあい、ありがとうございました。
山野さんにバトンタッチです。よろしくお願いします。


森田珠水


わたしにふれてください

わたしにふれてください