東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

猫に学ぶ3

こんばんは森田です。
今放映されているTVCMで、カルカン「キミが教えてくれること」というのがありまして。ワタクシ、このCMが大好きなのです。

*カルカン「キミが教えてくれること」

猫が家の中を荒らしているのですが、以下のナレーションが入ると、もっともらしく意味のある映像になるのが不思議ですよね。

「たまには、無意味なことをしてみる(ティッシュの箱からちり紙を一枚ずつ出す)
自分の気持ちよさをまず優先する(炊飯器の上で寝ている)
自分の能力に限界をきめない(ソファから高い棚に飛び移る)
キミが、教えてくれること」


 自分の感覚に正直に生きていない、いや、感覚をききわけてからだの要求に従うことを忘れてしまった私たちは、大いに猫から学びたいなと思います。

このナレーションはどのフレーズもお気に入りなのですが(2行目はまさに操体!)、特に3行目の「自分の能力に限界を決めない」が今いちばんひびきます。私たちはいろいろな場面において可能性を自分自身の頭で決めてしまっています。
 患者さんとの会話によくあるのは、
「この年になったら、もう○○できなくて当たり前よねえ」
「この病気になるとあとは○○になっていくだけって言われたのよ」
「原因が分からないから治せないと言われた」
など、可能性を決めつけて制限している言葉。

確かに診断も治療も他人に任せるのが当然の世の中でしたから、平均値に自分自身を押し込めるしかないのは仕方ないかもしれません。もちろん、昨日テーマにした笑いの力、皮膚、呼吸の力を科学する研究も進んでいますが、一般には浸透していないようです。

 自然治癒力という言葉は誰もが聞いた言葉となりましたが、体感することはなかなか少ない。重い病の診断を下された方が奇跡的に治った話は、滅多にないことで自分には起こらないと考えるのがこころの防衛本能(つまり制限)なのです。

操体をやれば、癌でも何でも治りますよ〜!」と言っているのではありませんよ。ちょっと順序がちがいます。

橋本先生は「気持ちのよさで治るんだ」「患者には原始感覚(快と不快をききわける能力)しか教えるな!」とおっしゃっていたそうです。
自分のからだ、イノチにきいてみれば、何か答えが返ってきます。気持ちがいい、おもしろい、不思議〜という「快」の感覚を享受し、からだとともに委ね、ぜひぜひ味わってください。そうしてからだはありがたく治してくれるんだ、と体感していただけると意識が変わります。体感はイノチのありがたい力を信じることにつながります。感謝は他人にしなくていいんです(笑)。答えは自分の中にあるというのはこういうことかもしれません。そうして、感謝、信じることを通して息食動想(+環)を改めてみなおそう、とこころに感じた時には、奇跡的なことも起こるかもしれません。もっとからだとつながって、頭の制限が外れて、次元をポーンと飛び越えた時は、奇跡でなくとも、意識が変って、それまでとは違う方向へ人生が向いていくことは必至です。

「自分の能力に限界を決めない」

その、制限が外れる瞬間に居合わせられるのは、操体をやっていて幸せなことです。もちろん、そこに関わるためには学んで、耕し続けないといけないのですが、患者さんの驚く顔が見られるご褒美は確実にあるので、それで学びが続いているのかな、と思います。


さて、この日本の宝、操体を広く伝えるべく、師匠と仲間の8人が明日スペインへ旅立ちます。日本だけにおいといたらもったいない。
記念すべき一回目の海外でのフォーラムまであと4日。

みんなアバレてきてくれると思います。度肝をどんどん抜いてきてほしいですね。

では、いってらっしゃい!

森田珠水



9月18、19日スペイン、マドリードにて「操体フォーラム in マドリード」開催
11月20、21日千駄ヶ谷津田ホールにて2010年秋季東京操体フォーラムが開催されます。
2010年8月、社団法人日本操体指導者協会を設立しました。