東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

脳からみた快・不快

 佐助が担当するブログ6日目です。よろしくお願いします。

 今日は、国立精神・神経センター神経研究所微細構造研究部の湯浅氏の報告を参考に、快・不快は脳内のどこで反応が起きているのかを紹介したいと思います。

 脳内で快が生まれるには、扁桃体を中心とするシステムと密接な関係を持っています。扁桃体視床下部を経由した情動刺激や腹側被蓋野と呼ばれる中脳の特定の領域を経由した快を引き起こす感覚が、大脳腹側の深部に位置する神経細胞集団である側坐核で、神経伝達物質のひとつドーパミンの放出を促します。この側坐核内でのドーパミン放出がもとになって、脳内に心地良い・きもちがいい感覚が生ずると考えられているそうです。

 操体法で快感覚をあじわっているときの脳内の反応は、快感覚によってドーパミン放出を伴うとともに、質の高い快感覚は大脳皮質だけでなく脳の広い領域で同調して強まることによって反応が起こることが考えらます。快感覚がききわけられたときに活動の高まる部位について、ポジトロン断層法(positron emission tomography:PET)(陽電子検出を利用したコンピューター断層撮影技術)を用いて調べた研究で興味深い結果が示されています。快感覚によって心臓の拍動、筋肉の緊張や呼吸数が変化し、このような自律神経系の反応が強い場合、側坐核扁桃体前頭前野、前頭葉眼窩野、中脳といった情動系での大きな血流変化が認められることが明らかになっています。これらのように、脳の広い領域で同調して反応が起きていることがいえます。

 不快の感覚についてふれたいと思います。不快は大脳辺縁系の不快という感覚が中脳・中心灰白質に出力された結果と考えられます。中脳・中心灰白質には攻撃行動と回避行動を選択する機能があることは古くから確かめられています。回避行動とは基本的には不快の感覚に基づくものであり、攻撃行動とは問題解決のための能動的な回避行動に当たります。このため、最近では大脳辺縁系の情動反応との関係が注目されているそうです。
大脳辺縁系に不快感覚が発生したとき、その入力を受けた中脳・中心灰白質が攻撃行動を選択する状態にあった場合、その感情は怒りとして発生し、そうでなかった場合には、選択肢は悲しみや絶望感を持つということになるそうです。
 また、不快感覚には、ドーパミンは反応しないこともわかっているそうです。

 今日はこのあたりで・・・。ありがとうございました。

2013年4月28日 東京千駄ヶ谷津田ホーにて、春季東京操体フォーラムを開催致します。