東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

言葉の誘導

動診と操法において、「介助/補助」と同じく奥深いと感じているものに「言葉の誘導」がある。ともに、からだの動きの安定・充実感を促すことに大きく関わる。前者が「見える手」で触れていると捉えるなら、後者は「言葉」という「見えない手」で相手に触れているようなもの。熟練の操者の方の動診、操法を受けると、静かな「千手観音」のイメージが浮かんでくる。

「言葉」という字のなかに、「葉」という漢字が当てられているのは面白い。「植物的」な要素を含んでいるということだろうか。植物的な要素を含んでいるならば、言葉にも実は「根っこ」が生えているかもしれない。

どんな「根っこ」がどこまで伸びているか。それは使う人に委ねられている、言葉を育てる面白さだと思う。表面的には同じ「言葉」でも口にする人、使う人によってその響き方がまったく変わってくることも、なんとなく頷ける。そんなことを考えていると、言葉にイノチがあってもおかしくはないように思えてくる。

言葉の「根っこ」や「源泉」。そういった目には見えないかもしれないが、感じることはできるものを、からだは素直に受け取っているのではないだろうか。
「言葉」というイノチあるものを生かしていく「言葉の誘導」。操者ができること、磨いていけることはまだまだ在るような気がしている。