ある医師がいた。
彼の妻は生まれた時から決まっていた
許嫁だった。
学生結婚し、医師は戦争中何度も戦地へ
軍医として赴き、
終戦を北朝鮮で迎えた。
3年間のシベリア抑留の後、
やっと日本に帰ってきた。
妻は息子と共に家を守っていた。
医師は最新の西洋医学よりも
昔から興味があった民間療法や
鍼灸の研究をかさね、
「自分のやり方」というのを確立した。
ところが、妻や息子は
この、薬も注射も使わない
不思議な治療法には
あまり興味を示さなかった。
妻が亡くなった時、
医師は枕元で号泣したのを
傍にいた弟子が見ていた。
そして、医師は
亡くなった妻に、ダイヤの指輪を買った。
弟子は
「生きているうちに買ってあげればよかったのに」と
思った。
私も
「生きているうちに買ってあげればよかったのに」と
思った。
死者に花を手向ける、
装飾品を持たせる、
美しく化粧を施す
なぜ、古(いにしえ)のヒトも、
今のヒトも同じことをするのだろう。
それは、あの世でも
美しくきれいで幸せであってほしいという
願いや、悪鬼に肉体を奪われないようにという
愛の気持ちなのだと思う。
畠山裕海
松島瑞巌寺の観音様
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詳細は以下、「東京操体フォーラムHP」をご確認ください。
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