以前、新潟のお土産で「渋柿の焼酎漬け」なるものをいただいたことがある。
それがまた、今まで食べてきた柿のイメージがひっくり返る程に絶品で、
その時の衝撃が深く記憶のなかに残っている。
「渋柿」は、そのままでは、
あの独特の渋味が強過ぎて 食べられたものではない。
そんな「渋味」に立ち向かった、
初めての人。
試行錯誤と、手間ひまをかけて
「渋」を抜く方法があることを発見し、
処理を重ねることで、
甘柿では味わうことのできない
あの何とも言えない妙味にまでたどりついた。
もしそういう風に向き合う人がいなければ
未だに渋柿は「渋い柿」のまま。
この「絶品」は隠されたまま、
見向きもされない存在のままだったのだろう。
柿の渋を抜くのと同じで、
自分自身が「苦手」と感じていることも
「苦み」を丁寧に処理することができれば
何か別の感覚に化ける可能性が
あるのかもしれない。