東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

憶の快ってなんだろう③

生理的欲求、いわば「からだの要求」といえば、生まれ
たばかりの頃の僕らは、それはもうシンプルに反応する
というところからスタートします。

原始反射というこの時期特有の反射もありますが、それ
は「刺激に対する反射」という単純な生理だけで語られ
るようなものではなく、なにか僕たちのからだに刻まれ
ている幾つもの「記憶」が顔を出しているようにも思わ
れます。

発達心理の面でいえば、発達する過程で身に付けていく
感情のもとを辿っていけば「快」、「不快」に行き着き
ます。

「ブリッジスの情緒の分化」では、「快」から「愛」、
「喜び」、「得意」などが分化していき、「不快」から
「嫌悪」、「恐れ」、「怒り」などが分化するとされて
います。

その「快」、「不快」の前には「興奮」というものがあ
りますが、この「興奮」とは「何かに対する反応」とい
う意味もあるのではないかと思います。

生れたばかりの頃は、例えば、眠たい、お腹が空く、オ
シメが汚れるといった「不快」があり、それを回避する
プロセスの中に「快」がある。そこに皮膚感覚や内臓感
覚を通した反応があるわけです。

こういった、シンプルな感覚がその後の成長、いわば個
人の主観的な体験と結びついて様々な感情を生み出し、
生存のための感覚がいつの間にか個々人の嗜好に重きが
置かれるようになっていくのです。

嗜好も人生に彩りを添える意味では大切ですが、その源
流、そしてその源流がどこから生まれてきたのか、赤ん
坊のように「からだにききわける」こともできるのです
から、なんてありがたいんでしょうね。