東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

憶の快ってなんだろう②

からだの奥から「ホッ」とする感じ。

緊張から弛緩への状態変化が生み出す感覚とも言えるか
もしれません。

 

しかし、それがからだの奥からということになれば、筋
骨格系横紋筋系運動系の視点だけでは見えてこないで
しょう。

この辺りは「楽」では決して味わえない感じとでも言い
えましょうか……

からだの奥からといえば、当ブログでも度々登場してい
ただいている三木成夫先生が語られた内臓感覚。

 

内臓とこころ (河出文庫)

内臓とこころ (河出文庫)

 

 例えば、あのオシッコが膀胱に溜まり、内圧とそれに対
する逆圧が高まったときの内臓収縮を-これは大きい方
も一緒ですが-内臓不快と本人はききわける。

それが開放され、緊張から弛緩へのプロセスそのものを
内臓感覚で快と本人はききわける。

この内臓感覚を生理的欲求、いわば「からだの要求」と
して素直に受け取る感受性、これは子どもの頃に養って
いるようです。

オシメがまだ取れていない3歳前の子どもを見ています
と、素知らぬ顔でオシメに済ませていたのが、少しずつ
「オシッコ!」、「ウンコ!」と内臓が発する声をきき
わけられるようになっていく。

「からだの要求」に委ねているだけの時期が過ぎ、その
声がどこからききわけられるのか、どんな感じを伴って
ききわけられるのか、内臓感覚で学習しているのでしょ
う。

ここでは不快ありきで、不快から快という一つの方向性
のなかで語られていますが、この緊張から弛緩における
からだの奥から「ホッ」とする感じは、横紋筋系(動物
系)を緊張させ、瞬間的に脱力するプロセスのなかでは
味わえない、平滑筋系(植物系)の「感覚」と「うご
き」ならではと言えるのかもしれません。