東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

うらおもて2

先日、部屋の整理をしていたら、埃をかぶったカセットテープが出て来た。

そういえば、小学生の頃はラジカセに空のテープをセットして、

ラジオにかじりつきながら、録音ボタンを押して、自分の好きな曲を集め、

オリジナルのテープを作成していたものだ。

好きな曲は何度となく巻き戻しては聴いていた。

A面とB面をひっくり返すのも、当時は当たり前だった。

片面が終わりに近づいていき、テープをひっくり返す前のあの感じも

結構好きだった。

 

 

まだ、レコードも普通に家の中にあった(今もあるが)。

針をおとし、表面を聴いて、今度は裏面へ返す。

裏表がセットでひとつの作品というのも自然なことだった。

音楽をたのしむうえで、いろいろな「間(ま)」が溢れていた。

 

CDもすでに身近になりつつあった。

初めて自分でCDを購入し、再生した時に(たしか、すぎやまこういちのドラクエのサントラだったと思う)、曲を意のままに飛ばせるというのに、感動したことを憶えている。聞きたかったあの曲が、巻き戻すことも、針を動かすこともなく、ボタン任せに「ピーピピピ」と読み込んで適ってしまうのだ。この味をしめてからは、カセットテープを再生する機会はパタリと減っていった。

 

CDの盤にも表と裏はあるけれど、裏面にひっくりかえして再生する必要はなくなった。スマホやパソコン、ブラウザで音楽を聴く現在は、表と裏という概念ももはやなくなった。

 

今思えば、表と裏を行き来しながら循環するのと、

再生が自動的にループされるのとでは、だいぶ違うのではないかと思う。

 

音楽の記録メディアから「表」と「裏」が消え去って、

音楽をたのしむ空間で、表と裏をつないでくれていたあの「間(ま)」も一緒に消えてしまったことを想う。