東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

脊柱管狭窄症の聾唖のおじい3


両方の足裏がかなり硬く凝っていてガチガチです。


私はおじいちゃんの顔を見ながら少しずつ揺らしてみま
した。
おじいちゃんの土踏まずのあたりに親指を当てて足の内側を
包み込むようにしてゆらゆら揺らす操法です。
これは気持ちがイイらしく、2分くらい揺らしてそっと手を
止めて、そのままじーっと余韻を味わってもらいました。
おじいちゃんは子供にかえったような顔で味わっていました。


今度は足の指を左右一緒に一本ずつゆっくりと軽くしごく
ようにしながら揺らしてみました。
30秒一本勝負でした。
一本を30秒位揺らしたということです。


おじいちゃんはどれも気持ちがイイと言いたそうでした。


私は次におじいちゃんの右肩周辺のコリを調べてみることに
しました。
肩甲骨のまわりが少し凝っている感じがしたので、押したり
ずらしたりしてその感覚を聞いてみると、気持ちがイイとの
こと。
一分ほどして、私はこんな質問をしてみました。
「ここまでいろいろとやってみた中で一番心地よかったのは
どこかな?」と。


ひゅっひゅっひゅっと息子さん。


「はひふへほぇっしゅー」とおじいちゃんはすぐに答えました。


「足が良かったと言っています」


「おお、そうでしたかー、わかりました」
私は足の揺らしをもう一度やることにしました。


足指と足裏を行ったり来たりして5分位揺らしたら、
おじいちゃんがほっぺたをふくらませて「ぷわーーぷわーー」
と息をし始めました。


それを見て奥さんが「ふわっ、とっしゃん、ねんねんしー」と
面白そうに私を見て笑いました。


「眠ったみたいですねー」と私は普通の声で言い、一緒に
にこにこホイホイゆらしました。


息子さんも少し笑って驚いた顔で私を見ました。


「ぷわーーぷわーー」とおじいちゃんは笑われていること
も知らずに赤ん坊のような顔で眠っていました。


「心地いいんでしょうねー」私は揺らしたり止めたりを
つづけました。


5分ほどして、私はそっと手を離してイスに腰掛けました。
「このまま起きるまで寝かせておいていいです」


「お父さん、イイからだですよー、まぁちょっと頑張りす
ぎたのでしょうね。つらくてもがんばらなくっちゃ良くな
らないとか思っている人が多いんです。でもねぇ心地よさ
が少し足りないだけなんですよー」私は息子さんに向って
話しました。


「そこのピンクの本はいい本ですよー」
私の押し売りがはじまります。
「その本にはひとりでできるやり方もたくさん書いてあるし、
かわいいイラストもいっぱいでわかりやすいから、それを
見ながら家でやってみるといいですよ」
私は「楽しくわかる操体法」の本を指さしていいました。


奥さんは押し売りとも知らずに、すぐに本を手にとって
ぱらぱらとページをめくって見ています。


しかし、奥さんはそのとなりに置いてある「操体セミナー
in仙台」のDVDが気になるらしく、目はそっちの方に向いて
います。
「あっ、それは操体講習会のDVDだからねぇ」と私。
DVDよりも本の方がわかりやすいと思って言ったのでしたが、
奥さんはにとっては、「そんなの関係ねぇ!」で、私の押し
売りは失敗におわったのでした。


つづく


今 昭宏




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