東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

同 志

いやぁ。。今週も長かったぁ・・毎度のことながらブログの順番が回ってくる週は妙に長く感じます。最後までお付き合いを願います・・・
今年はNHK大河ドラマがご存じ龍馬伝ということで高知・長崎・京都は軒並み観光客が増加しているようです・・・
私がこの様に?歴史マニアになったきっかけは以前のブログにも書いたように、司馬遼太郎先生の竜馬がゆくでした。文庫本で全八巻だったのですが、一気に読み切ってしまったのを覚えています。
読後に感じたのは“竜馬のような生き方がしてみたい”ということでした(現在は高杉晋作の様な生き様に憧れているのですが)。
それからというものは取り憑かれたように司馬遼作品を次々と読みました。花神」「世に棲む日日」「翔が如く」「坂の上の雲などなど、スッカリ司馬遼ファンになってしまいました。

司馬遼作品はビジネスマンにも非常に好まれており、以前、プレジデント誌で多くの経営者・管理職の方達が好きな司馬遼作品ということで、アンケートに答えていました。

1位 坂の上の雲
2位 竜馬がゆく
3位 翔ぶが如く
4位 この国のかたち
5位 街道をゆく

という結果でした。やはり組織者として社会の第一線で活躍されている方達が選んだのは坂の上の雲であったり翔ぶが如くといった“組織”を題材とした作品であるのは頷ける。竜馬がゆくに関してはビジネスマンの仕事に対してのモチベーションを上げるのには最高の作品ではないだろうか。
個人的(幕末好き)には1位「世に棲む日日」「峠」花神とかも好きですけどねぇ。。。

司馬遼作品は人物評には、かなり偏った部分も有りますが、そのぶん魅力もあり、特にビジネスマンにとって、組織とは如何に運営すべきか!組織の中での個人の役割といった部分で特に勉強になる部分があります。

私も今は臨床家として日々活動している訳ですが、18歳で高校を卒業し、この業界に入るまでの約18年間はサラリーマンとして、社会の波に揉まれていました。18年間の殆どを“営業職”という業種で過ごし、中小様々な企業で仕事をさせて戴いたのは今の私の宝だと思っています。
その中で強く感じたのは「強い組織」「弱い組織」の違いでした。入社当時はどちらも同じ規模の会社であったにもかかわらず、一方は倒産、一方は株式の店頭公開をする企業にまで成長と、勤めた会社で雲泥の差が出てしまいました。
その違いはと言えば、「リーダーの意志」「厳しさの中での成長」でした。
伸びていく組織の共通点はリーダーをはじめ、組織内に甘えや妥協が一切ないという部分でした。

前者の社長は信長の如く妥協ない果断の人で、平社員の時は怖い社長だなぁ位にしか思いませんでしたが、役職がついてきて、管理職になった時にその厳しさを改めて味わうこととなりました。
平均年齢も若い会社で、社長・専務自体も私より一つ上という中で、年下の上司の下で毎日怒鳴られながら、営業したのを覚えています。
「年齢や性別で人を判断するな!」「年上でも部下は呼び捨てで呼べ!」が口癖でもあり、それまで上司だった人を管理する立場になった時でも、ためらっていると「降格したら悔しいとか、何故、自分が部下になったかを理解さす為にも遠慮をするな!ハゲって呼んでやれ!!」と言われていました。
「組織を管理する人間に変な優しさは要らない!!部下を正しい方向に導き、稼がせてやることがお前の役目であって、友達作りが目的ではないんだ!!勘違いするな!!」と甘い顔をするのを見るといつもそう言いながら殴られていました。
ビジネスの基本である「報・連・相」を特に重視する社長で、どんな手柄をあげても報告や連絡がなければ、実績を一切認めず、支店長でも当月の給料半額などは当たり前でした。
人事も朝一番で営業所の所長付けのFAXが全社に送られても、報告がないからと夕方には一般社員に降格というのも当たり前の光景でした・・・
逆に実績を上げた社員に関しては入社歴にかかわらず昇進させ、重要なポストをどんどん与えていき、やり方を見ながら適材適所に配置をして行くやり方でした。女性社員でも月収100万以上の社員が何人もいました。
社長は常に「俺らの目標は日本一だ!絶対!日本一になるぞ!」と管理職や一般職にも顔を合わすと大声で言っていました。
その言葉の元、気が付けば松江市で一番、島根県で一番、中国地方、西日本と徐々にその売り上げを業界の中で着実に伸ばして行きました。
“組織は厳しさの中にこそ磨かれ強くなる”がその会社で学んだ教訓でした。
因みにその会社は株式の店頭公開をして、当時、社長は資産数百億の億万長者になり、島根ではじめて平成12年度の全国長者番付20位内に載る快挙となりました。総従業員数40名の時に入社していた身としては何となく嬉しい感じでした(退社時に持ち株を手放したので恩恵には与れませんでしたが。。)・・・

一方で後者のケジメのない組織は社長が目標も明確でなければ、怒ることもなく、ニヤニヤと笑っている姿しか、記憶にありません。銀行回りが社長の仕事のような人で、ひたすら金策、仕事は現場の役職任せという人でした。
現場の管理職も厳しさとはほど遠い、ぬるま湯状態でした。部下が実績を上げようが上げまいが、自分に火の粉がかからなければよいという感じで、ひたすら自分の生活を守る為の業務に勤しんでいる感じでした。ノウハウは教えると自分の業績に関わるからと有耶無耶にされるといった雰囲気で、共通目標などは存在せず、個人目標のみといったいわばバラバラの会社でした。
結果として私が退社して数年でその会社は倒産し、別の会社へと吸収されてしまったようです。

東京操体フォーラムは組織としてはいわば自営業者やそれに準ずる方達の集団です。当然雇用関係がある訳ではないので、企業とは違う訳ですが、操体を純粋に追求する人達の一つの組織です。学びとはどんな世界でも決して甘いものではなく、厳しくて当たり前、馴れ合いや妥協は後者の会社のように倒産や解散の憂き目にあうでしょう。

これから操体を学ぼうしている人達は私達にとっては同じ学びの中にある「同志」です。楽しさは厳しさの中にあり、厳しさの中にこそ“成功”があるのだと固く信じています、いよいよ来週に迫った“東京操体フォーラム分科会ですが、そんな新たな”同志”との出会いを心待ちにしたいと思います。
今週、一週間本当にありがとうございました。来週からは私達の素晴らしき師匠である三浦理事長の登場です、お楽しみに!


福田勇治