東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

東京操体フォーラムIn京都 最終章

昨日の書き込みに引き続き、最終日も丁度一週間前に行われた東京操体フォーラムIn京都について書きたいと思います。


私達、東京操体フォーラムの各メンバーは個々に自身の研究所なり店舗なりを構えている自営業者でもあります。私も導軆力学研究所という屋号を師匠から戴き平時は現場でクライアントと向かい合っている一臨床家です。
参加者の方から、フォーラムの運営は?日当とかは?宿泊費・・?などと様々な素朴な疑問を戴いたりするのですが、その都度『無いですよ』と答えるとちょっと戸惑った間があるので、間髪入れず『だって、全てが勉強ですから、お金を払ったって出来ない勉強をさせて戴いているのですから、当然じゃないですかねぇ』と答えて理解される方もいれば、奇特やなぁという表情をされる方など様々です。
世の中ではお金を払えば大概のことは出来ます。勉強をしたければ受講料を納めれば学ぶことも出来ますし、著名な先生に師事したければそれも可能でしょう。
ですが!出来ないことも様々有ります。それが『信用』であり『絆』なのです。多分、一億円を三浦理事長の前に積んでもフォーラムでの講演は出来ないでしょう。「オレ流ボディメソッドを発表したいからフォーラムで発表させてくれ!テレビにも取り上げられていて、来場者は数百人単位で来るから、運営にもメリットあるよ!」って言われても、2時間説教を食らって帰されるでしょう・・・

何故か?これはフォーラムに限らず、どの様な組織を運営していく上でも重要な要素だと思います。有名人を呼べば安易に動員がはかられるなどという考えで講師を呼ぶと、動員はそこそこ増え、見た目の数は増えるのでイベントとしての体は保てるでしょう。
ですが、イベントの趣旨から大きく外れてしまい、この団体が何を訴えたいのか、何処を目標としているのかが分かり難くなってしまいます。
その結果、有名人を呼ばなきゃ人数を増やせない、中身のない薄っぺらい団体と成ってしまいます。
参加者に訴えたいこと、理念等が其処に確実にあれば、有名人が来ようが近所の叔父さんが講演しようが人は来るはずです。人数増やしが仕事になってしまうと、体裁を取り繕った張りぼての城塞でしかなく、裏に回ると何とも悲しく、惨めなものでしか有りません。

ですから、私達がフォーラムでスタッフとして行っている様々な事柄は、角度を変えて見ると、全て臨床に役立ったり、自分の人間としてのパイを広げていくのに凄い役に立っています。
お金を積んでもフォーラムの実行委員に成ることは出来ません。当然のことながら理事の審査もありますし、何よりも操体に対しての思いであったり、利他の精神が有るかどうかもポイントと成って来ます。

今回のフォーラムはと言うより、私は自分のポリシーとして『人生は必然であり、偶然は存在しない、起こる事象には全て意味があり、己の生きる指針である』と考えております。
 そこで今回の東京操体フォーラムIn京都は自分にとってはどんな必然で、どういった気付きであったのだろう?と一週間経って考えてみました。
 特に今回は関西操体会の重鎮であり、生前の橋本敬三の息づかいをご存じでいらっしゃる、奈良操体の会を主催されている北村翰男先生にご参加戴いたのは我々、東京操体フォーラムにおいては大きな一歩であり、今後の展開への大切な力になったと感じました。
 北村先生からも色々とアドバイスを戴き、今後のフォーラムとしてのあり方や、個人としての操体への関わり方など、普段ではお聞き出来ないような話をジックリと伺うことが出来ました

私は特に気が短いので、それでは駄目だ!もっと気長に時間をかけ解決すべき問題もあると諭しても戴き、ただただ感謝です。
 富士山の頂上に登るには山梨県側から登ることも出来れば、静岡県方面から登ることも出来るんだよ・・道は沢山あり無数に存在する、でも頂上は一つなんだよ・・・というのを改めてフォーラムのメンバーを含め多数の参加者の皆様に語りかけて戴いた様な、三浦理事長との掛け合いの中でそんなことを強く感じました。
アプローチは違えど、橋本敬三への思い、操体に対しての愛情は同じであり、自分の世代だけでない、次代を見つめたお二人の考えに反省し、目指すべき点が多々見つかりました。

自分さえよければ良いでは二流、縁ある方を活かしてこその一流ではないかと、今回のフォーラムではつくづく感じさせられました。
道半ばで社団法人も開設したばかりではありますが、私が感銘を受けた、操体の考え方や素晴らしい仲間達を数多くの方々への架け橋として繋いで行ければ最高だと今、感じています。
このブログを書いている数週間後には今度はスペインの空の元、フォーラムを開催している、そんな自分が信じられない今日この頃です。

玉林院に眠る、山中鹿介幸盛『願わくば我に七難八苦を与えたまえ』この言葉を胸に刻み、困難・辛苦から逃げることなく寧ろ楽しみ進んでいけるそんな自分になって行ければと思います。
今週一週間お付き合い、本当にありがとうございました!次回はイベントに当たらないことを願っております。


福田勇治