東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

私にとって操体とは-「一生楽しめるオモチャ箱」-

操体は面白いぞ、一生遊べるからな』橋本敬三先生には幾つもの名言があります。その中でも好きな一つがこの言葉です。
凄い言葉だと思いませんか?これが”一生勉強だぞ”では固いですし、”一生修行だぞ”ではハードルが高すぎて憂鬱になります。「遊べるから」も真意は同じですが、洒落っ気タップリの橋本先生らしい表現で、とても好きです。
一生遊べるものって凄くないですか?どんなに興味あるものでも、ある程度のことが分かれば飽きてしまうのが人間です。
それが、一生遊べると言われているのです。
では、実際にどうなのか?と言えば、間違いなく橋本先生の言葉通りです。

畠山先生との出会いから操体の道を歩むこととなった私も、操体との縁があって10年が過ぎましたが、未だに分からないことも含め、それ以上に感動や驚きの方が圧倒的に多いのです。操体法自体も我々のバイブルとでも言うべき「万病を治せる妙療法」「生体の歪みを正す」に書いてある内容も、操体としての橋本哲学は何ら色褪せることないのですが、操法に関しては大きく変化しています。
これは当たり前の事で、疾病症状とその原因は社会環境や時代によって大きく左右されるものだからです。仮に昭和40年代と全く変わらない操法に拘り今、やっているとすれば、それは真にクライアントの身体と向かい合っているのかどうか?と問われれば、明らかに違うと思うからです。
一般疾病でも昭和20年代では結核や肺炎など菌から発した疾病が圧倒的に多く、食源病と言われている今の状況とは大きく違います。
操体はあくまでもクライアントが主人公であり、施術者側の事情で施術を行ってはならないのです。自分は第一分析しか知らないから、クライアントがどうであろうと、関係無い!では余りにも身勝手な臨床家であり、常にクライアントと向き合い、何がベストなのかを自問自答するのが本来のあるべき姿だと思うのです。
と、書くと非常に格好良いのですが、そこに要求されるのは生涯を通した学びです。
特に師匠の三浦先生は、橋本敬三直伝のまさに“遊びの達人”とでも言うべき方であり、まるで子供が一つの物事に飽きもせず遊び続けるが如く、操体の広いフィールドの中で40年以上も遊び続けていらっしゃる。
普通、偉い先生になると、現場には出ず過去にすがってでも生きて行ける筈ですが、三浦先生は妥協することなく、常に現場の最前線で橋本先生の教えを守り、操体のガキ大将的存在として、追求し続ける姿には憧れと同時に目指すべき臨床家としての大きな目標です。
操体を追求するものにとって「息食動想」はそれこそ大きなオモチャ箱であり、そのどれ一つをとっても一生を通しても遊び尽くせないほど深いテーマがあります。一つでも奥が深いのに四つもあるなんて、そりゃぁ一生遊べますわ・・