ある日、石工さんたちが巧みに石を割っていました。
卜伝さんも「大したもんだなぁ」と感心して見ていたそうなんですが、
いざ自分がやってみると上手く割れなかったそうです。
いくら力を込めてやっても石工さんたちのようには割れません。
すると一人の石工さんが
「石には目というもんがあって、そこを叩かないと上手く割れないんだヨ」
と教えてくれました。
「ええ!石に目が!」と卜伝さん。
石工さんは
「普通は見えないけど修行を積んだオレらには見えるのサ」
と言いながら石の一点を指さしました。
卜伝さんが半信半疑でそこを叩いてみると、石はたやすく割れたそうです。
そして、このとき卜伝さんの心には何か悟るものがあったそうです。
む〜、何だか奥の深いオハナシなんですが、
ワタシのような仕事をしているヤジウマさんは、
たぶん卜伝さんの悟りよりも石工さんのほうに興味津々なんじゃないですかねぇ。
だって石の目がわかるなんてスゴイ視診力ですし、
臨床家なら誰でも「経験を積んだオレらにはからだの悪いところが見えるのサ」
なんて言ってみたいもんですぜ。
まぁ操体的には
「経験を積んだオレらにはからだの要求がわかるのサ」
のほうがシックリくるかもしれませんが。
手技療法では基本的に悪いところをどうこうするというよりも、
からだの全体性というところを大事にしていきます。
そして、どうすればそれが取り戻せるのか?というアプローチをしていきますが
それも視診や触診という段階があってこそ、より活きてくるってもんです。
そう考えると全てに共通する大事なスキルなんですネ。
そういえば今度の春季東京操体フォーラム(4月28日)では
視診・触診の実技指導があるってウワサですぜ。
これは要チェックかもしれません。教えてもらいに行っちゃいましょうヨ!
中谷之美