東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

「人間の病2」

昨日の続きになるが「心理的ストレス」が腰痛を引き起こす原因の一つなのは間違いないと思う。人間の心が及ぼす身体への影響、それは「腰痛」だけに限らず様々な病気と相関性がある。
番組内でも例に挙げられていたが自分が無意識の内に感じているストレスというのは誰もが持っているものであり、本人の意識が行き届かない所でカラダに何かしらの影響を及ぼす。そのストレスと上手く付き合っていければ良いが、消化しきれないと番組で言っていたように「原因不明」という診断がされてしまうのである。
私が最近強く感じているのが操体で説いている命の営み(息・食・動・想)の中で想念のバランスが取れていないため、体調を崩している人があまりにも多い気がしてならない。心の不調和が己の呼吸、食事、動きのバランスを崩壊させているのである。

このような心とカラダの相関性は橋本先生の言葉にある「妄想苦」が深く関係している。
これを身近なことに例えれば「自分は友人に嫌われているのではないだろうか?」または「もっとお金があれば」等、ありもしないことを勝手に想像し苦しむことを言うのだが、こういったことは人間誰しもが経験したことがあるだろう。
特に病人はこういった心の葛藤を常に持ち合わせていて、それが病の根底にある原因となっている可能性も大いにある。このストレスは現代で解明出来ていないほとんどの病と相関していると言っても過言ではない。

私の知人にもいるのだが医者が原因不明だという病気に苦しめられている人は多い。
私もそういった人達のカラダを診させて頂いたことがあるが健康な人と比べ皮膚、筋肉は固く常に緊張した状態にある。
そして一番厄介なのが感覚の聞き分けが正常ではないということである。どこを触診しても痛みを感じない。それは快・不快を聞き分ける原始感覚が鈍ってしまっているのである。
こういった人達の話を聞いていくと共通して心に多大なストレスを抱えている。そのストレスのほとんどが空想、つまり思い込みのものであり、橋本先生が言われている「妄想苦」なのである。
このような患者が増えてきている現状を考えると私達臨床家はカラダという器だけを診て治療する時代は終焉を迎えたように思う。これからは患者の持っている心の病も診断し、治療していかなければ間に合わない時代になってきている。

こういった心の病こそが昨日の腰痛の話であった「二足歩行の宿命」なのかもしれない。それを宿命にしないためにも自分を必要以上に干渉し、自我と戦わないことが最も良い解決策となるだろう。