東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

「人間の病5」

近頃よく友人や知人から「肩が痛いんだけど何が原因なの?」と聞かれる。

こういった類いの質問は今に始まったことではないのだが、正直いつも返答に困る。大抵は曖昧にしてその場をしのいでいる。なぜならこういった事を聞く人ほど本気で健康になりたいと思っていないからだ。もし本当に自分のカラダと向き合い健康を望んでいるのならば私と「臨床」という場で向き合ってくるはずだが、ほとんどの人達は交遊の場で聞いてくる。そして結果に対しての本当の原因を知りたがっているのに手っ取り早く治したいという気持ちでいる。こういった人のほとんどが共通しているのが自分のカラダに無関心すぎるということである。

人間は痛かったり病んだりすると他力的に治してもらおうという意識が働く。もちろん治し方を知っていれば自力で治すだろうが、現代人はあまりにも医者頼みになりすぎていて治し方を自分で学ぼうとしない。自分のカラダの事なのにどこか他人事のように捉えているように思えてならない。使わせて頂いているカラダなのにあまりにも無知すぎはしないだろうか?その代償の一つが原始感覚の鈍りだと思う。

本来、私達臨床家よりも患者のカラダの事は患者自身が分かっていなければならないのだが、分かっていない人が多い。それは自分にもカラダにも無関心過ぎるからだ。命ある者全てにおいて命を傷つける一番の行為は無関心な事だと思う。特にカラダというのは本人から意識が向けられなくなると様々な箇所からサイレンを出すようになっている。そのサイレンは時として昨日に書いたような原因不明の病となってカラダに表れる。

こういった事を未然に防ぐ為にも常にカラダの声に耳を傾け、その声に適うケアを自力で行っていく必要があるのだ。このケアも何も治療ではなく自分のカラダに聞き分けた命の営み(息・食・動・想)を行っていけば良いのである。こういった事はカラダを使わせて頂いている以上の最低限の責任であり、自分の健康は自分で勝ち取っていかなければならないのだ。