東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

「人間の病3」

昨日まで述べたように人間のもたらす病のほとんどの原因は命の営み(息・食・動・想)の過ちが原因となっている。
腰痛にしても、風邪を引くにしても人間が本来行うべき責任を果たさないからカラダが病む。当たり前の事を当たり前に出来ないから心とカラダが悲鳴をあげるのである。子供の頃に私が腰痛で苦しんでいた時に母からこんな言葉をかけられた。

「ムカつくとか、こういった心を持つ事が腰を痛くしたりするの。だから何にでも感謝しなさい。そうすればあなたが痛いと言っている所も治るわよ。」

昔は軽く受け流していたコトバであったが臨床に携わっている現在では母から頂いたこのコトバを有難く受け止めている。

このコトバから分かってきたことである。それは健康と不健康との境目は「感謝出来るか否か」ということである。
それは当たり前にあるものにどれだけ感謝出来るかが健康でいられる秘訣とも言える。

ここで道元の言葉を一つ紹介したい。

「眼横鼻直」(禅のことば 禅のこころ 武田鏡村)

この意味とは眼は横にあり、鼻は縦にある。つまり「当たり前のことを当たり前こととして捉えなさい」という意味で真理は当たり前の所にあるのだと説いている。この原理を命の営みに当てはめると、呼吸をすること、食事をすること、五体満足で動けること、能を使い考えられること、そして眠ること、こういった当たり前に行っている事こそが人生における最高の幸せであり、有難いことなのである。
そしてこの真理とは「生命活動における愛と調和」であり、それを「快」というベクトルに向かわせていくことが命が要求していることなのだ。これらを成す為にも私達は自分自身、カラダの声と向き合いと自然法則に乗っ取った生命活動を行っていく必要がある。

こういった事に感謝しながら、法則に乗っ取って生命活動を行っていく事が私達の責任であり、病を遠ざける最良の方法なのである。