昨日のつづき
昨日のプラスの病気に続いて、次にマイナスの極性をもった病気にはどんなものが含まれるかというと、あらゆる種類の組織の変性、ある種の代謝病、それに多くの内分泌疾患などが明らかにこれに該当する。クシング氏病、先端肥大症、巨人症など、これらの病気は、ある生体機能に何らかの欠陥があるか、さもなければ逆に過度の活性が災いするところに特徴がある。こうした患者の体の中では、マイナスのエネルギーが優勢となり、意識的に回復しようとする能力も極めて貧弱になっているのであるが、それらの原因は心の力のアンバランスによって説明することができる。
人間の生涯にとって非常に重要な出来事のある当日、その人が病気になる確率は極めて低いということに気づいたことはないだろうか。結婚式の当日になると、それまで多少長引いた熱や背中の痛みを伴う風邪をひいていても、まるで嘘のように治ってしまう事実を、これまでに見たり聞いたりしたことはないだろうか。長い間待ち望んでいた休暇旅行に出発する当日であるとか、その他我々の日常生活での何か楽しい理由のある場合も同様である。こうした場合、一体何が起こったのだろうか。それは無意識のうちにも内なるエネルギーが活性化されていたのである。望んでいた目標を得ようと最高度に緊張していた心が、自律神経叢へ強力なプラスのエネルギーの流れを送り込んだ結果、しばらくの間、細胞や組織が活性化されて、病気を除去する力を得ていたのである。
たぶん当人は、休暇の前日に服用した薬が効いて治ったのだろうと、その薬に感謝するかもしれない。しかしそれは、病気を治すことのできるのは薬ではなく自然法則なのだという真理を忘れた人間の考えることである。我々自身、すなわち我々の十分なる意志の力こそが、自然から生命エネルギーを引き出して病気を治すことができるのである。古代インドの医学者だけがこう言っているのではない。世界中のどこの国の医者たちも、こうした経験をもっており、そういった患者の心の状態によってはその意志の力のものすごさに驚いたり、あるいはよい目的のためにそれを利用したりしてきたのである。
近年の物理療法は、心と肉体のリハビリテーションに関して多くの技法を発達させてきたが、その中には健康に関するヨーガの原則と共通したところがたくさんある。しかし、「柔軟体操」と操体の「般若身経」の間に違いがあるように、物理療法とヨーガの間にもそれと同じような違いがある。たとえば不動の姿勢という点で両者を比較してみると、物理療法ではほんのしばらくの間、からだだけを動かさずにじっとしていればよいが、ヨーガではからだと心の両方を徹底的に固定することが要求される。しかもからだと心のバランスを十分考えた上でのことで、お互いにバラバラであってはならない。
比較的最近になってようやく物理療法の方でも、長期間にわたって効果の持続するようなリハビリテーション効果を出すためには、患者の心を積極性のあるプラスの思考に向かわせるよう教育することが大変大事であるということに気づいてきた。そのあらわれとして、アメリカの病院の殆どすべての物理療法部門では、心理学者のチームが物理療法医と協同でボディワークを進めることにより、患者の病んだ心身をバランスよく回復させることに成功するようになってきた。
医学は今や病気や傷害は、我々の物質生活上の故障にすぎないと単純に割り切れるものではなく、ひょっとしたら我々がまったく意識していない電磁気の力か何かによって微妙に影響された結果によるものではないかということに気づきはじめている。
アメリカ精神衛生研究所から出版された『神経医学・医学における生物学的リズム』と題する論文から引用すると、「我々人間や、我々をとりまく世界の中で一定不変だと思われていることの大部分が、実は隠されたいろいろのリズムによって影響を受けている」、「見ることも感じることも出来ないが、我々は重力や電磁場や光波、気圧、音波などの影響力によって取り囲まれている」、「いろいろな周期的現象は、地球上の生活で最もありふれた、それでいて見過ごされている性質である」などの記述が見いだせる。
事実、からだの働きの中には、気圧、明暗、電磁場などの日変化によって影響を受けると思われるものがいくつかある。これらの周期的変化を説明するため、現代生物学では「サーカディアンリズム」という言葉を用いている。同時に、週や月のような日周以上の長いリズムに対しても「インフラディアンリズム」という言葉を用いている。非常に多くの研究の結果わかったことは、酵素の産生、ホルモンの分泌、代謝活性、血球の産生といった多数の生体機能が、地球の自転や公転の周期と同じリズムで変動しているということである。これは実に興味深い研究結果であるが、やはり自然の法則に適っているということなのだろう。
明日につづく
「2014年秋季東京操体フォーラム」 開催決定
今回は11月22日(土)23日(日)の二日間開催いたします。
メインテーマは「操体進化論」です。
特に、22日は場所の都合上、人数が限られておりますので
ご参加希望の場合はお早めにお申し込み下さい。
詳細は以下、「東京操体フォーラムHP」をご確認ください。
http://www.tokyo-sotai.com/?p=813