東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

心身一体論③

 心身一体論が、心からからだへ、からだから心へとなされる伝導と影響がどのようになされるのかということは昨日、記述したとおりである。 こういった心とからだの相互交渉の中で特に関係が深いのが深層心理と、間脳と、自律神経と、内分泌である。

 

 心とからだの相互交渉の原理を推論すると、心の病気とからだの病気を引き離して考えて、一方だけを治そうとする療法は、そもそも、ものの道理に合わないことになる。 つまり、からだだけを治そうとする療法では、まともにからだを治すことができないという結論に至る。 一方、心に良い暗示を与えるだけで、からだを健康にしようとしても、その結果は同じ結論に導かれる。

 

 肉体だけを考えてからだを治そうとすると、心に備わっている悪条件によって妨害されるし、心の治療だけでからだの病気を治そうとすると、通常の人間の働きにおいて、神経を通じて肉体に届くほどの力は持っていない。 少なくとも通常の人間の場合は、心とからだの両面からアプローチしていかないと、心の病も、からだの病も容易に改善するまでには至らないということだ。

 

 そこで、最近発達した身体心身医学のねらいがある。 この療法の将来には大きな期待をかけることができるだろう。 ところが、これと同じような方法が、日本医学と云われる操体法に存在している。 それが動診・操法という快適感覚から導き出される心身一体の療法と言えるものである。