東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

からだの調子と調和

 今回は 「ととのう」 というテーマになっている。

 

 「からだを操る療法」 として 「操体」 という側面から見た 「ととのう」 という言葉は、整体や整形外科の文字に使う 「整う(ととのう)」 と表示するものと思いがちだが、実は 「カラダの調子」 とか 「ココロの調和」 という意味合いで用いるときの 「調う(ととのう)」 の文字を使う方が理に適っている。

 

 我々のからだにおいて 「調子」 や 「調和」 というものは、総合的、相互浸透的な結合のうえに成り立っている。 では、からだの調子や心の調和とは一体何なのか? それは、「肉体を調える」、「呼吸を調える」、「心を調える」、つまり 「調身・調息・調心」 という三つの部門から成り立っている。 そして、それらは互いに直接的、間接的に繋がっているので、その内の一つを欠いても、からだの調子や心の調和は存在しないということになる。

 

 直接的に繋がっている 「調身」 は 「肉体」 と直接に関係し、 「調息」 は 「神経」 と直接に関係し、 「調心」 は 「精神」 と直接に関係している。 そして間接的に繋がっている 「調身」 は 「神経と精神」 に間接に関係し、「調息」 は 「肉体と精神」 に間接に関係し、「調心」 は「肉体と神経」 に間接に関係している。

  

 これら三つの部門のそれぞれの中に他の部門の要素がすでに含まれていることを特筆しておきたい。 たとえば操体の調身とも言える動診・操法においても調息と調心が含まれている。 これによって施術が行なわれているあいだ、知らず知らずのうちに、調息と調心の下地の準備が調えられていくことになる。

 

 このように操体の最大の特色は、「調身」 における動診・操法の中に他の二つの要素である 「調息」 と 「調心」 が含まれているということにある。