操体の動診・操法には 「緊張感」 と 「快適感覚」 の調和が存在している。 そして、動診・操法の生命は快適感覚の方にあるので、緊張感は快適感覚の補助といえる。 操体がほかの整体と違って健康療法として段違いの効果を発揮する理由は主としてここにある。
操体の動診・操法によって緊張感と快適感覚が調和するということは、ある動診・操法を行なっているあいだ、そのからだの動きと快適感覚を味わうのに、直接関係する筋肉の緊張は避けられないが、そのほかの筋肉は、弛緩している。 これはからだの動きに 「連動性」 がなければ起こらない。
ところで、からだを動かす筋肉や背骨、関節などをつなぎ支えている靭帯は、歳月とともに自然に硬化してゆくものであるが、これこそが老化の最も大きな要因であり、目立つ特徴でもある。 また人間は、直立二足の構造形態にあるために、骨格は非常に歪みやすく、特に現代の社会生活では骨格の歪みや狂いを生ずる要因が非常に多くなっている。
そのような骨格の歪みは、病弱の根本要因であり、これを修正しなければ健康を得ることは難しい。 その骨格のなかで最も狂いやすいのは、「骨盤」 と 「背骨」 である。 この両方の歪みは内臓神経の異常を生じさせ、内臓の営みに悪い影響を及ぼすことになる。
また、操体の動診では末端の動きから最も狂いやすい骨盤と背骨を通じて連動を生じさせ、からだ全身へその動きとともに原始感覚を呼び起こして操法へと繋げていくものである。