東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

あなたに操体・操体法をお薦めする理由 ➀

 操体の創始者である橋本敬三医師が仙台の温古堂で日々の治療として使っていた臨床を 「操体法」 と呼んでいる。 この操体法に橋本医師の思想や生命観といった哲学的な面をも含めたものを広義の意味合いで 「操体と呼んで区別している。

 

 初日の今日は、「操体法」 をお薦めする理由について述べてみたい。

 

 我々の健康に最も影響を与えているのが、ボディの歪みである。 そのボディの歪みは重心が大いに関係しおり、重心で特に問題になるのが、からだの左右の半身どちらかに重心がかかりすぎていることによって、歪みが起こってくることだ。 この歪みというのは、骨格の歪みのことであり、その骨格が歪んでくるのは、骨格筋が偏って短縮したことにほかならない。 

 

 ということは、骨格の歪みだけを直そうとしても、筋肉が骨にくっついて引っ張りあって支えているので、すぐに元の歪んだ状態に戻ってしまうことになる。 すなわち、骨格筋の短縮を直さなければ、ボディの歪みを正すことはできない。

 

 そんな骨格が歪めば、当然、背骨も歪んでくることになるが、それは内臓の働きにも異常を引き起こす。 その内臓に分布している血管の伸縮は、自律神経によって調整されており、内臓の活動そのものを支配しているのもこの自律神経の働きである。 

 

 そのような働きをしている自律神経は、背骨の隙間にある椎間孔という小さな穴から出入りしているので、背骨に歪みがあって神経を圧迫するようなことになれば、内臓への影響を悪いものにしてしまう。 これから言えることは、健康状態を続けていくには、できるだけ歪みの少ないボディを維持することが不可欠である。

 

 その歪みの少ないボディを維持するには、筋肉は柔軟にして、偏った筋短縮がないように留意しなければならない。 また歪みが生じた場合にどこかの整体術でやるような、短縮した筋肉を強制的に伸展させようとするやり方は、明らかに間違っている。 このような方法では痛みや不快感が生じることになり、逆に短縮筋が反発して、より縮んでしまうことにもなりかねない。

 

 筋短縮は一種の凝りであり、これを修復するのに按摩やマッサージ等の手技によって、その部分だけにスポットを当てるような療法であっても、ボディの歪みが解消されることはまずない。 ところが 「操体法」 では、からだ全体を一者と見ており、骨格に付随する全身の関節を自身で動かしながら治療する方法であることから、「自力自療」 と呼ばれている。

 

 具体的にいうと、短縮した筋肉にはそれなりの理由があり、からだにとって必要な反応なのだと、操体法では捉えている。 そのからだの声に耳を傾けることは、短縮筋に対してより一層協力的に縮ませてあげる動きを与えることにある。 この動きを患者自身の感覚に委ねながら、脱力後の感覚まで誘導していく事こそ、操者が果たす責任ある役目なのだ。

 

 また、動かして診るという方法は、カイロプラクティック等でも行っているが、それはモーション・パルペーションというもので、単に関節の可動域を診ることで、関節の変位を判断するのに用いる検査手法である。 これに対して、操体法では検査的意味合いよりも、本人の感覚を重視することが最も重要であるとしている。 何故なら、症状・疾患というのはそれぞれが百人百様なので、個別に対応しなければ、からだの声を聞き逃してしまうからである。

 

www.tokyo-sotai.com 2021年春季東京操体フォーラム開催

2021年4月29日(木)昭和の日にオンライン・会場で開催致します。
テーマ「操体法クロニクルズ2~呼吸とセルフケア特選~(仮)」