東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

あなたに操体・操体法をお薦めする理由②

 2日目は、広義の意味での 「操体」 をお薦めする理由について続けていく。

 

 我々が健康状態を維持していくためには、他人に代わってもらえない自己責任の活動として少なくとも四つあると、橋本敬三医師は言っている。 それが、呼吸飲食身体運動精神活動 (息・食・動・想である。 

 

 操体は健康について、身心相乗の原理の立場をとっているが、その相乗の原理を、日常生活に応用したものが、息・食・動・想である。 病気の原因は、「血液の質の低下」「血液循環の停滞」 にある。 だから、血液の質を上げて、その血液の循環をつけることで健康が確保できることになる。

 

 呼吸が浅く、飲食が乱れると、血の質が落ち、血液が粘りついて血液循環も悪くなる。 また皮膚が弱く、姿勢が歪んでも、血液循環が悪くなる。 それらはみな血液が腐敗するからである。 その血液に生野菜のようなアルカリ性が加わると、粘った血がたちまちサラサラとした良い血に生まれ変わる。 

 

 これから分かることは、血液を清めようとするならば、呼吸と飲食との二つを揃えていかなければならないということ。 この二つは相乗効果によって働いているのである。 どんなに素晴らしい呼吸法を習得したところで、飲食が乱れていれば、血はきれいにならないし、またどんなに飲食に気を配ったところで、呼吸をおろそかにしていては、血はきれいにならない。 つまりこの二つを同時に実行することで、どんなに濁った血でも必ず健康な血に変えることができる。 まさに同時相関相補的に連動しているのである。

 

 同じように血液の循環をつけるには、やはり身体運動の相乗効果を必要とする。 運動の主体である身体は、その内側にある筋骨の調整と、外側にある皮膚の鍛錬とを揃えていかなければならない。 皮膚が弱くなると血の流れが悪くなるが、筋肉に凝りができて、骨格が歪んできても、血の流れが悪くなる。 これも同時に皮膚と筋骨を強めることで、血液循環が良くなるのは同時相関相補連動性が働いているからである。 このように 「呼吸」 と 「飲食」 は血の質を良くし、「皮膚」 と 「筋骨」 は身体運動として血の流れをよくするということが理解できると思う。 

 

 そして自己責任の最後は 「精神活動」 である。 これは先に述べたように操体では、健康について、「身心相乗の原理」 という立場をとっている。 精神とは想念、すなわち 「心構え」 のことであり、その心構えを変えただけで、肉体の病気が治っていくことが多い。 もう一方の精神的な病気も、「からだ構え」 を改めただけで、治ってしまうことも多い。 このようにからだと心とは一枚のコインの裏表のように離れることのできない一枚、すなわち一者である。

 

 これを具体的にいうと、もし、「心」 が、怖れ悲しみ、嫉み憎しみ、怒り争い、不平不満などによって暗い感情に陥ってしまうと、その感情がほぼ一瞬にして間脳から大脳以下に伝達して、各内臓や血管に指令を出している自律神経の中枢が攪乱されてしまう。 それはやがて内臓と血管に乱れが起こり、 それが病気となって現われてくる。 

 

 次に、からだの病気のために心の病気が起こるということも理解しておかなければならない。 これも具体的にいうと、肺が堅くなると頑固になり、骨盤が曲がるとひねくれる。 肩が捻じれるとカンシャク持ちになり、頸が堅いと疑い深くなる。 からだの重心が前に傾くと心配性になり、後ろに傾くと傲慢になる。 こういった性格を治したいならば、からだに付いた癖を治す必要があるが、操体にはその矯正にもってこいの 「般若身経」 というからだの使い方・動かし方の実践法が用意されている。

 

www.tokyo-sotai.com 2021年春季東京操体フォーラム開催

2021年4月29日(木)昭和の日にオンライン・会場で開催致します。
テーマ「操体法クロニクルズ2~呼吸とセルフケア特選~(仮)」