東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

まずは楽との袂別から。

おはようございます。

 

東京操体フォーラム実行委員ブログ、今週は友松の担当となります。

一週間どうぞよろしくお願いいたします。

 

今回のテーマは「憶の快」となります。

憶の快。この憶の快という言葉は、まだ操体関連の書籍にも載ってない新しい言葉です。新しいといっても、操体の深化に伴なった進化により、必然性をもって生まれた言葉ですから、まずはその経緯を知ることが肝要と思います。

 

操体操体法創始者である橋本敬三先生の時代から随分と進化しておりますが、その進化の大きな要因として、「楽」から「快」へのシフトチェンジが挙げられます。

楽から快へシフトチェンジした事で、はじめて操体操体法のヒントとなった正體術から自立していく事となる。

 

創始者は、医師でありながらも様々な民間療法とも交流しながら、それらを自らの臨床に活用していた。そんななか、正體術との出会いもあった。

そして、正體術の手法をヒントに、どちらが辛い動きで、どちらが楽な動きか、本人に運動感覚差を確認させ、楽な方へ動いてもらい、瞬間急速脱力するという臨床のとおし方を行うようになる。

 

この臨床のとおし方(第1分析、D1)の目的は、ボディ(横紋筋系運動系)の歪みを正す事にあった。当時は、楽な動きでボディの歪みを正せば、おのずとバランスがとれて様々な症状、疾患に効果があると考えられていた。

また、当時は人々の生活様式や暮らしぶりが、近年とはずいぶんと違っていたので、この臨床のとおし方でも十分に効果はあげられた。

 

しかし、時代が進みにつれ、人々の抱えるストレスも多様化して増え、骨格を基礎とする横紋筋系運動系の歪みを正すだけでは対応しきれないケースも増えてきた。

横紋筋系運動系を楽な方向に動かして歪みを正せば、おのずとバランスがとれて回復改善に向かう、では不十分。

もっと緻密にバランスがとれるまでの経緯を、掘り下げて究明する必要がでてきた。肉体は横紋筋系(随意筋系)だけで成り立っているわけではなく、平滑筋(不随意筋系)もあり、それぞれ神経系統も違う。自分が楽と思う随意的な動きに、不随意筋系が常に協調してくれるとは限らないだろう。

客観的に見て、ボディの見てくれがよくなっても、それが内部との調和に向いていなければ、本来のバランスがとれたとは言えないのではないだろうか。
事実、それだけではボディの歪みの修正も一時的なものとなりやすい。

時代が進み、ストレスの度合いも、精神的ストレス、内臓ストレスの占める割合いが大きくなってくれば、尚更だと思う。

「楽」では、もう古い。
 

明日へ続く、