東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

操体を初心者に説明する③ 「からだの声をきく」

 からだの感覚に意識を向けるというのは、英語ではアウェアネス(awareness)と言うが、他にも 「自覚する、知覚する、気づく」 という意味もある。 操体ではまた 「からだの声をきく」 という言い方もするが、これは精神と肉体が一つになったそのからだの声こそが、まさに自分自身であると捉えているのである。

 

 肉体は私という精神の現れでもあり、また精神も肉体に直接反映している。 このように操体では、「からだ」 という言葉を用いることで、精神と肉体を一つにした全面を強調するものである。 我々が夜空の満月を見上げるとき、からだはともに在り、心地よい潮風を感じるときにもからだは一緒にいる。 そして、何かに感動したときは、からだも同じように感動している。

 

 からだの感覚をききわける操体では、からだの声に耳を澄まして傾けてみることをする。 すると、どうだろう? からだのどの部位に意識が上って感じているのか、その症状は何と言っているのか。 このように自分の内面に意識を向けて感じることが、すなわち自覚することであり、からだの声をきくという意味になる。

 

 また操体においては、疾患を身体器官の機能の不調和であると捉えている。 そして、その部分に強く調和したリズムが共鳴すれば、その波長に影響されて身体器官が再び同調して機能し始めるという理論の立場をとっている。 操体ではこの理論を、からだの快適感覚が効果を発揮する理由であると仮定している。