東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

操体的呼吸

今週は日下が担当します。 今日から呼吸というものを操体的に捉えて、その味わいを感じていただきたく思う。一週間、おつき合い願いたい。
さて、その呼吸であるが、基本的には鼻でするものであり、息の出し入れも、匂うことも無意識に為されている。ところがこの鼻というのは、それ以外にからだ全体と密接に繋がっており、特に生体の歪みに直接関与している正中線と深い関係がある。ようするに鼻はからだ全体の方向性を左右する非常に重要な感覚器官でもある。そんな鼻の働きの中で、生まれてから死ぬまで続く生命の息吹きともいえる呼吸にスポットをあて、呼吸と意識の関係性について、より感覚を深めてほしい。
そんな呼吸はからだのプロセスと同様に途切れることなく無意識的に統御される機能を有している。が、同時に、意識的に働きかけてコントロールすることも可能である。呼吸が意識的でもあり、無意識的でもあるというこのような特質は、人間存在の意識的な側面と無意識の側面を結びつける役目も担っている。そこに存在するのが「呼吸法の教え」なるもので、呼吸の営みに意識を介在させるというものだ。
ところが非常に複雑で難しい方法が多いということから、誰にでもすぐ始められるというものではない。しかしそんなに難しく考えることはなく、操体的に言えば、自分の呼吸の流れに気づき、感じることで、その瞬間において、肉体と精神と魂の統合された機能に意識を向けることが可能になる。そしてその意識はからだ全身をつなぐエネルギーに活力を与えて拡大させ、またそのエネルギーに快感覚を呼び込んでリラックスさせてくれる。意識というのは、生命そのものとの直感に満ちた創造を行っているのである。


さあ、それでは今から操体的な意識呼吸をはじめてみよう!

〝 この文を読みながら、自分の呼吸に注意を向けてみる 〟
〝 呼吸は途切れることなく、ずっと続いている 〟
〝 読みながらも、意識して、呼吸している 〟
〝 これらを同時に、こなしていることに気づいているものと思う 〟
〝 鼻から入ってくる息に、目線をつけながら、意識を向ける 〟
〝 鼻から入ってきた息がからだの中に入ってくるとき、
どんな感覚をおぼえ、どんな気持ちになっているのか 〟
〝 読みながら、からだの声に耳を傾ける 〟
〝 鼻から入ってくる息によって、
からだのどこが動いて、どこが動かないのか 〟
〝 注意深く、からだの声をききわけてみる 〟
〝 鼻から出ていく息にも意識を向ける 〟
〝 息が鼻からからだの外へ出ていくとき、
どんな感覚をおぼえ、どんな気持ちになっているのか 〟
〝 読みながら、からだの声に耳を傾ける 〟
〝 鼻から出ていく息によって、からだのどこが動いて、どこが動かないのか 〟
〝 注意深く、からだの声に耳を傾けてみる 〟
〝 そうしたら、もう一度最初に戻って、読んでいく 〟
〝 鼻から入ってくる息と、鼻から出ていく息の干満とその流れに、
耳を傾けながら、言葉の意味と響きにも耳を傾けながら 〟
〝 もうしばらく続けてみる 〟
〝 そして、クライマックスは、ただ、自分の呼吸リズムを感じてみよう 〟
〝 そう、そっとからだの声に耳を傾けて・・・・・・ 〟
明日に続く



2012年秋季東京操体フォーラムは11月18日(日)津田ホールにて開催決定