東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

思考分断しない。

おはようございます。

 

昨日は、ミタテ、ミタテられ、ということを書きましたが、書いていて昔テレビで見た合気道塩田剛三先生の演武が思い返されました。

私は武道は素人ですので、最初に見た時はビックリしました。戦いを見るつもりでいたのに、そういう感じではない。なにか相手が勝手に吹っ飛んでいったり、当てられに来たりといったように感じました。

あまりにもスパッスパッと決まるので、見ているほうはそれを受けた人は演技をしているのではないかとも思ってしまいます。

しかし、これは演技をしているのではなく、相手はそのように対応するしかないようになってしまうのだと思います。

 

人間は自分の意思でからだを動かしているように思い込みがちですが、その動きは無意識によるところが多いようです。この無意識の領域に精通しているのが名人、達人と呼ばれる人たちなのだと思います。

からだの無意識。からだは自然の構成要素の一つであるという観点に立てば、個人個人とその他のものは別々でも、無意識には全部つながって関係性をもっているという見方ができます。

 

元々は全部つながっている。それを分断してしまうのが思考であり、自我です。操体臨床の場でのミタテでも、この思考がわからなくさせ、迷わせる。

自分自身も相手自身も無意識ではつながっていて、相手のからだは診てほしいところを感覚をとおして示してくれている。それを受け取れなくしているのは自我であり、病んだからだと対立してなんとかしようとしている自分の思考です。

 

塩田剛三先生は、「合気道で一番強い技は何ですか?」と問われ、「それは自分を殺しに来た相手と友達になることさ」と答えたといいます。臨床のミタテでも、調和和親が元々成るこの世界なのだ、と意識することも大事だと思います。

症状、疾患は人間の思考がつくりだしたものであり、それは無意識の領域の世界ではアンバランスの表れの一つに過ぎない筈です。病んだからだに対立意識は持たないようにしたほうが良いと思います。