東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

感謝⑦

臨床結果に感謝

 

 私は療法家として生計を立てるようになって、もう随分と年月が流れた。 その間に色んな患者さんと接してきたが、今回紹介するような臨床例も多々ある。 参考にしていただければ幸いである。 

 

 その人、A氏はこう訴える 「頭痛がするんです。 長年の慢性の頭痛なんです。 医者が処方する薬はまったく効きません。 あらゆる療法を試みました。 自然療法もやりました・・・・・・が、何も効かないんです」。

 

 こういったケースの人が最近増える傾向にある。 文明社会に生きるストレスのせいなのかも知れない。 大体この手のいわゆる病気は、その90%以上が本物ではない。 治そうにも治しようがないのが本当のところだ。 なぜなら、そもそも病気ではないのだから。 こういうのは、自分が病気ではないということを分からせるしかないのである。 普通の対話ではおそらく理解しないだろう。 ここは一か八か、口八丁で対応するしかないと判断した。

 

 私はその訪問者に 「治療の必要は一切ない」 と言った。 「そもそも頭痛などというものはないのだから」と、「あなたはそれを信じ込んでしまった」 「そしてあの医者この医者とかかっているうちに医者たちがあなたに頭痛があると信じ込ませてしまったのだ」 と、「あなたの頭痛を信じなかったら医者たちは生活できなくなる」 「医者には、あなたには頭痛なんかないとは言えない」 「医者にかかると、たとえどこも悪くなくても、必ず何かを見つけ出す」 「医者はそれで生きているのだから・・・・・・」

 

 私と話していたA氏の顔がリラックスし、緩むのを感じとって、そのトリックが効いていることが確認できた。 それから私はA氏に、昼夜なく思い出すたびに繰り返すよう、一つの処方を与えた。 つまり 「頭痛はない」 と繰り返すのである。

 

 毎朝起きるたびにA氏は繰り返す。 「私はよくなっている。 毎日毎日よくなっている」 すると二週間のうちに頭痛は完全に消えてなくなった。 本物の頭痛だったらそんな方法で消えることは決してない。 

 

 そういったいわゆる頭痛は、大体初めっから言葉でつくられたものだ。 はじめから自分には頭痛があると自己催眠をかけていたのである。 私が行なったのは、それからまたその催眠を解いたにすぎない。 本物の病気ならこのようにして消えることは絶対にあり得ない。 言葉というものを通してA氏は頭痛をつくりだしていたのである。

 

 A氏は、自分は病気ではないという感覚を生じさせるだけで治ったのだ。 治ったというより元に戻ったのである。 ここで誤解して欲しくないのは、自己催眠術が病気を治すということではない。 これはたんに、A氏が大変な自己催眠術師で自分自らが病気をつくりだしていたということを示しているにすぎない。 

 

 A氏がもし、疑い深い人で私の言うことに耳を貸さなかったら、元に戻ることはなかっただろう。 ここはA氏が素直に従ってくれたことに感謝したい。

 

 

次にお届けする感謝のメッセージは香実行委員です。

 

 

 

2017年秋季東京操体フォーラムは、2017年11月23日(木)に開催致します。

テーマは「生エネルギーと性エネルギー」です。

2017年秋季東京操体フォーラム速報