東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

くいつく反応その⑥

金田一家といえば、日本語研究で有名な方です。

私も、国語辞典で知った小学生から長い間お世話になっています。

 

金田一家、日本語百年のひみつ (朝日新書)
 

 金田一秀穂氏の歴史学の一説による研究によると・・・、

 

老子の「大器晩成」というのが、実は有名なオモテ面であっても、

本当に書き残していたのは、「大器免成」だったというのですが、

なにか、ウラ面的な(みえないものに通じる)何かを感じます。

 

「大器免成」とは、大きな器は完成しない、という意味ですから、

つまり、人間である限り、誰しも未完成のまま人生を終える。

・・・という、ほぼ正反対の意味を残していた可能性があるのです。

 

あの江戸時代の絵師、葛飾北斎も九十歳で亡くなるときには、

「あと五年あれば本当の絵を描くことができる」と言い残しました。

 

ルネサンス期の芸術家、ミケランジェロも八八歳で亡くなるまで、

大理石の彫刻を続けていたそうです。

 

そうなのかもしれませんね・・・集大成ということは未完成のこと。

 

現存する肉体の興味による完成のみを目的としていると、

取り組む姿勢が鈍ったり、飽きが生じることもありますから、ホッと

肩のちからを抜いて、「まぁやってみるか」くらいの意識を維持する。

 

天才と言われた芸術家でも、完成することはできず、くいついたまま

生命の環に戻っていける・・・故に未完で死んでいくのです。

生命とは永遠の完成、それは未完であること、それでいいんですね。

 

まさに、橋本敬三の哲学思想で語られている、救いの概念に通じます。

 

・・ということで、一週間のお付き合い頂きまして有難うございます。

明日からは、くいつくのも変幻自在、日下実行委員の登場ですよッ!

 

 

 2018年春季東京操体フォーラム

4月30日(月)昭和の日に開催致します。

テーマは「スポーツ障害と操体」です