私事で恐縮だが、
ニホンヤモリと生活し始めて7年ほど経つ。
彼らは生きているものしか食べない習性があるので
この時期は夜毎、クモやガなどの昆虫をハントしに出かける。
この最中の話である。
主食のクモは橋の欄干のところにいけば大体捕えることができる。
その狩りにはいつも某乳酸菌飲料のミニボトルを愛用している。
これが程よいサイズ感なのだ。
最近、都心では夜風が吹き荒れていることが多く、
そんな夜にクモを捕まえようとすると
不思議な現象に遭遇する。
クモを捕まえようと構えたボトルの口に
吹き荒れる夜風が絶妙な角度で当たると
「ボー」っという低音が鳴り響く。
夜風が「笛」を吹いているような状態である。
この予期せぬ響きに出会うと、
あまりに意図してないところでのことなので
ちょっと怖くなったりもするのだが、
同時にこれがなんとも魅力的なものでもある。
人間が吹く笛の音とはまるで異質な響きと遭遇する。
些細な事だけれど、こんなことからも、
不意に立ち現れる「自然」の存在感のようなものを
目の当たりにしているようである。