人間にとって、生命にとって、空気は貴重だ。
それは、万物が同じ空気の息吹を分かち合うからだろう。
動物も、植物も、人間も皆が同じ空気を共有していられる。
山の中に包まれると、それを大きく味わえるし、感じ取れる。
山にある湖水面には、吹き抜けていく風の優しい響きの味わいが
あり、お天気雨に濡れた、木々の放つ香りや、葉や果実の匂いの
混じった芳香、これこそ大好きなのである。
そこから帰ってきて、街に来る。
すると私は、耳が傷ついているような気がする。
実際は傷ついてなどいないのだが、そのうち慣れてしまう。
ただ、そんな生活がなんとなくわずらわしくなる時がある。
感受性を変える場所は大切だ。
そこは、広がりがある音を聞ける場所がある。
光を波動として感じ取れる空間も、観察できる意識もある。