東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

山で野宿④

私の住んでいる神奈川県の山奥にはダムがある。

そのダムを見に行くのが好きだ。

 

そのダムの底は、数十年前まで普通の人達が暮らしていた村だ。

村一帯は、ダムを作るために水の中に埋まってしまっている。

 

道路は途中でダムの一部になり、水しぶきをあげている。

ガードレールは白さを失い、茶色く錆びて、蔓さえ絡んでいる。

 

不思議なほど、ダムの水の中が静かであまり流れがない。

そのせいか、ただ周囲の山に囲まれた緑の反射と、深くたまる

水の色合いで、美しいグリーンとブルーが混ざり合うだけだ。

 

ワタシの傍にも、たまに猿が近づいてくる。

猿に目線を合わせてはいけないので、さりげなく距離を取る。

ここのダム近辺は、猪もいるし鹿もたくさん出没する。

 

先日は、親鹿と小鹿の姿を、数メートル先の林で見つけた。

私は動かず、親鹿の眼光を見続けた。

30秒ぐらいお互いに向かい合っていた鹿は、林の中に入った。

 

山に行けば、人は動物になれる。

動物は動物界のルールがある。

それを忘れないために、その場所に向かう。