東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

Resistance から Assistanceへ

今年の10月18日から21日まで、マドリッドの日西指圧学院の小野田先生のご尽力で、操体セミナーを行うことができた。
参加者の殆どは、指圧を勉強しているセラピストだ。

 

今回、先方から提示されたプログラムを見ると
「抵抗」
「患者と対話する」

と、書かれていた。

 

私は三浦先生と相談し、Resistance を Assistance(介助補助)に変更した。

また、「患者と対話する」を「患者のからだと対話する」に変更した。

 

この二つは「D1'(ディーワン・ダッシュ)」以降の操体の大きな特徴だ。

第一分析では「抵抗をかける」という。

 

また「からだのうごきと自分のうごきはちがう」と明言したのは、三浦先生だ。

さて、マドリッドに集まった受講生に「患者ではなく、患者のからだと対話する」ということを伝えた。

 

通訳を担当してくれたTさん(スペイン生まれの日本とスペインのハーフ)が、少し青い顔をしてやってきた。

「みんな、患者じゃなくて、患者のからだと対話する、という意味が理解できないみたい」

三浦先生は「わかるさ」。

 

三日目の午後、ある女性を被験者とした。頸椎の左側、C3の横突起あたりに強い圧痛硬結がある。
数年前に追突されてムチ打ちをやっている。

 

その時行った動診は、非常に静かなもので、膝二分の一屈曲位をとらせ、操者が被験者の座骨辺りを支え、「右側のお尻を、右側の踵に向かってゆっくり押し込んでごらん」というものだった。

 

ふわっと押し込むにつれて、被験者のからだがゆっくり動き、からだの無意識の動きが発動したのである。

 

はたから見ていても、その動きが、本人の意志ではないことがわかる。

 

翌日Tさんが「みんなショックだったみたい」と三浦先生と私に言った。

 

自分の動きではなく、からだの動きを見たからだ。

 

中には、感受性が強いのか、倒れてしまった女性もいた。

 

どうしたら、こういうことができるのか、という質問に対し、三浦先生は「みんなできることだ。僕しかできないことは教えない」とおっしゃった

私は「三浦先生みたいに、患者さんのからだと仲良くすることができれば、できるようになりますよ」と言っておいた。
(事実である)


「テクニックよりも、操者自身のからだの使い方、動かし方と、患者さんのからだと仲良くする方法が大事です」


テクニックではない、というのも「非常識」と言えば非常識だと思う。

 

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上野の国立科学博物館の特別展示。いろんな発明をする人がいるもんです。