おはようございます。
先日行われた秋季東京操体フォーラムでは、橋本敬三先生の現役時代のビデオの後に、三浦寛先生の20年以上前のビデオも上映されていました。
その中の「操体臨床の要妙」のビデオの一部を見ていて、思い返されたことがある。
操体臨床の要妙のビデオには、名医と名高かった耆婆や扁鵲の如くに先生が竹竿を持ち、視聴者に分りやすいように被験者の軸を診断するシーンがある。
その竹竿が、私がはじめて講習を受けていた時には、まだ講習所の隅に置かれてあった。
そして、その竹竿は違うシーンで活躍することとなる。
はじめて参加した講習会も、何か月か過ぎた頃だったろうか。
私たち感覚分析診断操法士の受講メンバーも、教えを受けるだけでなく、内容のチェックを受けながら修練を重ねる段階に進んでいた。
その時、活躍したのが件の竹竿だった。
介助、補助の練習の時に、座禅の警策の如くに竹竿で打っていただく。
「ふん」という声とともに「ピシィー」と大きな音がするものだから、傍から見ていると凄く痛そうにみえる。
しかし、実際に打たれてみると痛みは感じられない。そのかわり気持ちはシャキッとなる。
「ふん」「ピシィー」…「早い、もっとゆっくりと」
「ハイッ」…返事も濁りのない素直な返事が自然と出来、落ち着いて励めるようになる。
これも不思議な感じを受けたが、それだけ全身全霊を込めて真剣に指導にあたっているという事なのだろう。
中途半端な気持ちでやっても、あれほど大きな音は出ないだろうし、からだに痛みを与えることにもなると思う。
からだの事を大事に想い、上達を後押しする気持ちがしっかり篭るから、からだに痛みやダメージを与える事なく精神をシャンとさせる事ができるのだと思う。
はじめの頃は、どうしても技術的な面にばかり目がいきがちとなってしまうが、それ以上に大切な事を色々教えていただいていたのだと、今更ながら感じる。