東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

般若身経の解説~身悟りからの進化。

おはようございます。

 

操体は、からだから学ぶ学問でもあります。

自然法則を究明するとは、並大抵の事ではないのです。

今現在明らかになってきた様々な分野からの知識だけでなく、昔の人の智慧から書物をつうじて学ぶ事も大切。

それに加えて、昔の人が書物にしていなかった事柄や文字に出来なかった事柄、今も昔も全く手が付けられなかった事柄も学んでいく必要がある。

自然の一員であるからだから学ぶ。

感覚をとおして身悟りしていく。

 

その身悟りで、自分自身が真の自然体(健康体)に近づき、より良く変わっていく程、それまで究明してきた自然法則も見直して、修正を加えてより良いものにしていく必要が出てくる。

橋本敬三先生もそうやって、般若経を幾度となく修正してきた様子。

それは、橋本先生が近しい弟子の人達に語った「体系づけてはきたが未だ確立されたものではない」という言葉からも想像できる。

それだけ自然法則の究明というのは並大抵な事ではなく、人一人の生涯だけでは時間が間に合わないくらいに大変なことなのだと思います。

 

その自然法則の究明の遺志を継いだのは三浦寛先生でした。

三浦先生は、それまで深く究明されていなかった連動の法則について細かく究明し続け、からだに気持ちよさをききわける操体臨床の第2分析につなげていった。

この道のりも平坦ではなかったと思う。

なにせ、どこを探してもからだのバランス制御に係る連動について研究している人など居ようはずもなく、古今東西の書物にも書き記されたものが無いからだ。

原始感覚を鋭敏にして、からだから学び、身悟りしていくしかない。

そうして身悟りしたものを、臨床ともリンクさせ、被験者のからだとその感覚からも学ぶ日々だったと思う。

 

からだから学ぶ。そうして三浦先生は第2分析を体系化させ、更に動きがとおせない人や感覚のききわけが困難な人にも対応できるようにと、皮膚へのアプローチである第3分析も体系化させた。そして、操体臨床はその後も進化していく事になる。

その根底には、身体運動の自然法則をつうじて、真の自然体(健康体)が成り立つ理り事を、感覚をとおしてからだから学んできた経緯があった。

からだから学び、細かく且つ深く掘り下げて究明し、身悟りしていく。

それまで究明されてきた自然法則も、修正すべきは修正し、付け加えるべきは付け加え、より良いものへと体系化していく。操体の進化は深化を伴った進化だという事。

 

操体の進化は、第2分析、第3分析に留まらず、第4分析、第5分析と進化していく事となるが、特に第5分析への進化は、橋本先生の時代から当然として受け入れられてきた身体運動の基本を根本から見直す事となった。

しかし「真の健康体とはどうあるべきか」という真理への求道精神は、橋本先生も三浦先生も同じであり、橋本先生も祝福してくれているのだと思います。

 

一週間のお付き合い、ありがとうございました。

明日からは畠山裕美先生の担当となります。

どうぞおたのしみに。