東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

ひだり・・・5

おはようございます。

 

そろそろお盆です。

御先祖様を迎え入れる準備に忙しくしている人も多いと思います。

お盆飾りで欠かせないのが、まこ縄です。この縄は正月によく見かけるしめ縄と同じように左綯いとなっているようです。

 

綯い(ない)とは、複数の糸や縄などに撚りをかけながら螺旋状に合わせて、より太い一本の縄にする事である。

まこ縄やしめ縄は左綯いであり、左綯いとは時計回りに綯う事であり、右回りの綯い方である。 

対して、日常的に目にする縄やロープは反時計回りの左回りの綯い方であり、近くにあった梱包用のロープは、左回りの右綯いとなっていた。

ここまでは、日常で使うものと神聖な場で用いるものとでは違うというだけなのだが、それだけでないところに面白さがある。

しめ縄と聞いて思い浮かぶのが、出雲大社のあの大きなしめ縄だが、あのしめ縄は一般的な神社の反対で、左回りの右綯いとなっているという。

 

出雲大社のホームページの、よくあるご質問を見ると、こう書かれている。

『一般的に神社では上位の右方が綯い始めで、左方綯い終わりとする張り方となっております。
しかし出雲大社では古来、他の神社とは反対に神様に向かって左方を上位、右方を下位としていました。

それを示す事例を挙げますと、御本殿内には、客座五神として「天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)・高御産巣立日神(たかみむすびのかみ)・神産巣立日神(かみむすびのかみ)・宇麻志阿斯訶備比古遅神(うましあしかびひこぢのかみ)・天之常立神(あめのとこたちのかみ)」の五柱の神が祀られておりますが、尊貴第一の神たる「天之御中主神」が上位となる一番左に祀られております。

また、江戸時代の祭事の記録では、神様へお供え物を進める際、上位のお供え物を向かって左へ、下位のお供え物を向かって右へ進める作法となっております。 このように、古く出雲大社では一般的な神社とは反対に、向かって左方を上位、右方を下位とする習わしがあり、よって注連縄を張る際には上位である左方が綯い始めで、右方を綯い終りとする張り方となっています。』とある。 

文中の客座五神の中でも、天之御中主神、高御産巣立日神、神産巣立日神は橋本敬三先生の著書のなかでも度々でてくる神様でもある。

この世をつくった原初の神様であり、天之御中主神の「愛と調和」という意志によって、高御産巣立日神、神産巣立日神という(+)(-)の神様が設定され、全ての物事が始まった。

天津神、国津神はじめ、○○の神様と称される様々な神の祖先でもある。

そうした原初の神々の順を尊重し、あの大きなしめ縄も、左方を綯いはじめとして左回りに右綯いしていくところに何か意味を感じる。

そして、私たちが一般的に使う縄と原初の神々を祀るしめ縄の綯い方が同じという事にも意義を感じる。

私たちは、○○の神様と称される神々や御先祖様を、神聖な世界に居られるものとして崇める必要がある。
それはそうとして、その神々にも生みの親が居り、その大元の生みの親の原初の神様の意志や理念といったものは、私たちの世界にも貫通しており、姿は見えなくとも一緒におられる、という捉え方も出来ると思う。

そうなると、私たちにも天地創造の神様と同じように、此の世で愛と調和という意志の基に、幸福につながるあらゆる物事を具現化していく能力がある、という事なのだと思う。