こんにちは、今日はブログの6日目。
期待の新人・小松広明実行委員のご紹介日であります。
この小松さんから、2ヶ月ほど前に、電話を戴きました。
「佐伯さん!僕の施術を受けて、三浦先生の講習会に参加したい、操体を学びたいという人が出て来たんですよ!」
と弾むような声。
あれ・・・これって・・・あの時の・・・私と小松さんの関係とそっくり。
歴史は繰り返し、渦を巻いているようです。
と言うことで、2年前のあの時に、タイムスリップしてみましょう。
私は、美山の山奥で積雪50センチ程に閉ざされた冬眠状態。茅葺き家の真ん中にストーブを焚き、細々と生活していました。
そんなある日、
「もしもし、操体をされている、佐伯さんでしょうか?」
と、突然の電話。
その方は、整体師をしていて、操体に興味を持ち、一度操体施術を受けてみたいという内容でした。
この電話の主が小松さん。
その数日後、雪深い我が家に、先輩の整体師が運転する車で来られました。
京都市内から車で、1時間30分程の距離なのに積雪量は雪国並。二人とも随分驚いておられます。
もう施術を受ける前から、からだが環境による反応を示しているようです。
我が家は、築60年の地元小学校舎の建具、床板を使った板張りのなかなかシャレた空間。赤々と燃えるストーブの炎はその空間に暖かい息吹を放っています。
都会では味わうことのできない、非日常性がお二人を魅了したようです。
もうこうなると、私のペース。
まずは、先輩を施術することにしました。90キロ位の大柄な男性。
仰臥位で、皮膚からのアプローチ・渦状波を足底にし始めると、豪快なイビキが始まりました。
ベッドの脇には小松さんが座り、ニコニコ顔。
私が先輩に話しかけますが、その時はしっかりと応答してくれます。そして、まもなくイビキ。
こんなやりとりが、ずーと続いたように思います。
そして、施術終了後、
「よく眠っておられましたね」
すると、
「えっ! そうですか?」
ご自身は眠ったという意識感覚をもっていないにも拘わらず、からだが眠っているという不思議な体験をされています。
これは渦状波につく現象として、よく見受けられます。
今度は、施術の一部始終を見ていた小松さんの施術。
仰臥位膝1/2屈曲位で左膝の裏を触診。大きな硬結の中心目がけて中指を押し込むと、
「痛い〜」
腰が右捻転しながら両膝右傾倒の逃避反応。
こういう時は、からだが、「右捻転しながらの両膝右傾倒を欲している」と理解します。
そこで、両膝右傾倒の動診・操法に入り、気持ち良さを十分味わって戴きました。
そして、
「脱力の仕方は、からだによくききわけて、脱力してみて下さい」
この言葉がけに対応する小松さんの脱力仕方は、
両膝ストン!
「・・・ふーん・・以前に操体施術を受けたことありますね?」
ここで、何故私がこんな質問をしたかというと、気持ち良さを十分味わったからだは、決して「両膝ストン」となる急速瞬間脱力はしないからです。つまり、小松さんは、以前誰かの操体施術を受け、急速瞬間脱力を学習していたと、私は理解したのです。
ところが、実際には操体を受けるのはこれが初めてでした。
小松さんは、橋本敬三先生の「万病を治せる妙療法(農文協)」
を読み、数十年前の脱力方法を、独学していたのです。
これは、本当に素晴らしいこと!今考えてみると、もうこの時点で、われわれの仲間に入ることを示唆していたのです。
ただ、残念なことに、操体を独学で身につけることは出来ません。しかも、橋本敬三先生の愛弟子である三浦先生の施術は、日々進化しており数十年前の脱力方法など、我々同門で行う者はいません。
なぜなら、先ほど述べた様に、本当に気持ちの良さを味わったからだは、急速瞬間脱力が出来ないからです。これは、美味しい食事をお腹一杯食べた後、全力で走ることが出来ないのと同じです。
そこで、もう一度、からだによくききわけて、脱力をしてもらいました。
すると、風船がゆっくりすぼむように、美しい脱力。
その後は、皮膚からのアプローチ・渦状波。
気持ち良さを十分味わって戴き施術終了。
「未だかってないトリップ感覚を味わいました。ちょっと、本当に操体を学びたいです。」
「本当ですか?ならば師匠に電話をしますが、いいですか?」
「お願いします!」
ということになり、私は三浦先生に電話。
小松さんは、例の明るい調子で三浦先生に臆することなく話しをし、インド旅行の後、東京に引っ越しが決まりました。
そのテンポの良いこと、あっという間でした。
そして「小松さん、これからは我々と同門ですね」と
私の残したこの言葉が、やけに小松さんの心の中に残ったそうです・・・・
あれから2年経ち、もうすでに小松さんは東京操体フォーラムの実行委員。
そして、小松さんの施術に感動して、学ぶ人が誕生するまでになったのです。ノー天気の私など・・・この文章を書きながら、少々涙ぐんでしまいます。
そして、小松さんがその方にお贈りした言葉は
「これからは我々と同門ですね」
今日は、ここまで!
佐伯惟弘