東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

痰壺と息・食・動・想

以前一緒にバンドを組んでいたベーシストに、東陽片岡という漫画家を勧められてよく読んでいた。
彼の漫画は昭和の日本の描写が多く、手鼻をかむシーンや痰壺などが登場する。
私は今まで痰壺なる物を見たことがないが、高度経済成長期で大気が汚れていた頃の日本ではそこら中で
『カァーーっぺ』と痰を吐く人がいて痰壺の需要があったのだなと想像できる。

ネパールの首都カトマンドゥの市街地に行った時、砂ぼこりと排気ガスがひどくて、1日街を歩けば鼻の中が真っ黒になった。
そこでは多くの人がマスクを着用して暮らしており、男女を問わずそこら中で『カァーーっぺ』と痰を吐き散らしていた。
ネパールで仲良くなり、先日日本に遊びにきたイギリス人の友人ジョン・ポール曰く、発展途上国の特長は痰を吐く人間が巷に多いことだと話していたが、その通りかもしれない。
イギリスにもかつてそんな時代があったのだとか。

(4月に来日したジョン・ポールとデイジー 銀閣寺にて)

しかし、そんな大気汚染が甚だしい環境の中で暮らしていても、素敵な人達はたくさんいる。
私はたとえ環境がわるくても、息・食・動・息の営みでバランスをとっていけば、よっぽど環境が悪くならない限り生命体というのはちゃんと調和していくのだなとこの時リアルに感じた。
逆にどんなに環境が良い中に暮らしていたとしても、息・食・動・想の営みのバランスが崩れれば人は病む。
考えてみれば橋本先生がご健在の時の日本は高度経済成長期の真っ只中である。
そんな事をカトマンドゥのタメルストリートのローカルの茶屋でチャーを飲みながら考えていた。


私は発展途上国のストリートにいるのが好きだ。
そこに溢れているエネルギーを肌に感じながら、かつて日本もこんな時代があったのだろうなと思いを馳せる。
現代日本に住んでいると、このエネルギーをむしょうに味わいたくなる日がある。


カトマンドゥ ダンバール広場


ローカルの茶屋


小松広明


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