二日目も引き続き宜しくお願いします。
日下さんのクンダリーニとチャクラの文章を読んで、インドのリシケシュにいた時のある出来事を思い出した。
リシュケシュについては前回のブログでも少し書いたのだが、ヨーガの聖地として世界的に知られていて多くのツーリストが訪れる。
そんなわけで、ヨーガクラスの看板があちこちにありヨーガ産業が盛んな町である。
そこには本物もいるが、そうでないのもたくさんいる。
私はここに1カ月半いたのだが、しばらく滞在していると新たにやってきた日本人ツーリストにしばしば「どこのヨーガクラスがいいですか?」と決まり文句の様に訊かれた。
彼らはそうやって情報を集め、大概は1週間〜2週間あちこちのクラスに参加して自分に合うクラスを絞りこんでいく。
中でも滞在する期間が短くて現地でクラスを探すような人は、あまりのクラスの数の多さに情報が錯綜して右往左往している人が多かった。
ある日、リシケシュに来たばかりで上海で仕事をしているというMさんという日本人女性に道端で声をかけられた。
Mさん
「こんにちは。今日リシケシュに着いたばかりなのですが、どこかいいヨーガクラスをご存じですか?」
小松
「さぁ、私はシヴァナンダアシュラムの朝のメンズクラスに行っていますが、好みもありますしね。」
Mさん
「それはハタヨーガですが?」
小松
「はい。」
Mさん
「そっかぁ・・・、私はクンダリーニヨーガをしたいのですよ。それでチャクラを開きたいのです。どこかクンダリーニヨーガを教えている所はありませんかね?」
小松
「その様な所は知らないですね。 ところでヨーガの経験は長いのですか?」
Mさん
「いえ、殆どないのです。 でもとりあえずクンダリーニヨーガをやればチャクラが開くと聞いてここにやって来たのです。 時間もあまりないので短期間でチャクラを開く事ができるクラスを探しているのですけど・・・。ちょっとした心当たりでもいいですし、知りませんかね?」
小松
「残念ながら聞いた事がありませんね。」
Mさん
「そうですかぁ・・・、それでは自分で探してみますね。ありがとうございました。」
その二日後、Mさんとメイン通りでばったり会ったので、
「いいクラスは見つかりましたか?」と様子を伺ってみると、
「それが全然なくて・・・、あと10日間しかここにいられないのでどうしようかと
思っているのですよ。」と彼女は言った。
正味な話、そんなうまい話があったらすでに皆喰らいついているはずだ。
まあ、あと数日もすれば彼女も気が付くだろうと思い、「お疲れ様です。」と言い残して別れた。
それから数日経ったある日、ご機嫌よく道を歩いているMさんに会った。
すると、
「いやー小松さん、いい先生が見つかりましたよ!!」
とMさんは目を輝かせて近づいてきた。
話によると、その先生は町の外れの山間にある掘立小屋のような所で暮らしていて、特別に一週間でクンダリーニを活性化させ、全てのチャクラを開いてしんぜようと言うのだ。
Mさんはそこに通って2日目で、最終日に自分のチャクラが全て開くのが待ち遠しいという。
その話を聞いて、明らかに胡散臭い話だなと思った私は、
「大丈夫ですかその人? いえ、その先生?」
と訊くと、
「大丈夫ですよ〜。とてもいい先生でカレーやチャイも作ってくれるのですよ!!心配ないですよ〜。それでは今から修行ですので、また今度。」
と、Mさんは虎の穴だか牛の穴だかに向かって行った。
それから4日か5日が過ぎた頃だっただろうか、暗い面持ちで歩いているMさんに会った。
私は「その後どうですか?」と訊いてみると、
「それが・・・、通って4日目にセクハラを強要されたのですよ。
お金も最初に言っていた金額と随分違う金額を要求してきたし・・・。
だからもう通うのをやめました。 はぁ〜あ・・・、もうリシケシュにいれる時間も1日2日ですし、
適当に過ごして上海に戻ります。」と肩を落として彼女は言った。
あらら、
どうやらそのヨギ―は聖者じゃなく淫者だったようだ。
この手の話はヨーガの関連以外でもインドではよく耳にする。
昔から物事の順序を考えずに早く結果を求める事を「卵を見て時夜を求む」と言うが、へたすりゃ足元をすくわれかねない。
やはり何かを成そうとするならば地道にコツコツ末永く、息長くじゃないと。
と、
この文章を書き終えて改めて思った次第でありまする。
写真 リシケシュのガンガーで沐浴中のオイラ 今とは別人のようだ。
8月28、29日は大徳寺玉林院にて「東京操体フォーラムin 京都」開催
9月18、19日スペイン、マドリードにて「操体セミナーin スペイン」開催