東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

Sotai Forum in Madrid

1613年10月。仙台近郊の月の浦から一隻の船が出航した。船の名はサン・ファン・バウティスタ号。サン・ファン・バウティスタとは洗礼者ヨハネという意味である。伊達政宗公がスペイン人探検家、ビスカイノと江戸幕府の船手奉行の協力を得て、仙台藩領から調達した材木を使い、約45日間かけて建造されたという。全長約55メートルの木造船である。この船にはスペイン国王への謁見とローマ教皇への謁見をするための使節団が乗り込んでいた。宣教師ルイス・ソテロが使節の代表、日本人の代表として支倉常長が任命された。これが慶長遣欧使節団である。
彼らはスペイン領メキシコのアカプルコを経由し、約1年かけてスペインに上陸した。その後マドリードに入りスペイン国王フェリペ三世に謁見、その後ローマでローマ教皇へ謁見した。

仙台市博物館裏にひっそりと立つ伊達政宗胸像。これは戦前、青葉城跡に騎馬像として立っていたそうだが、戦争の際、金属を集めるために撤収された。この像は戦後奇跡的に仙台近郊で見つかり、胸像となっている。現在青葉城跡に立つ有名な騎馬像は、戦後に建てられたものらしい。

仙台市博物館のトイレのサイン。あまりに可愛いので撮影。政宗と愛(めご)姫。

というわけで、仙台生まれの操体が約400年の時を経てマドリードに上陸する。
浪越ヨーロッパの小野田茂先生からは、以前から三浦先生にマドリードでセミナーをやって欲しいというオファーを受けていたのだが、今年の初め、ついに開催が決定した次第。

現在、私が知っている限り、操体の書籍は「万病を治せる妙療法」と「写真解説集」が英訳されている。「万病を治せる」は「Sotai Natural Exercise」として、ヘルマン・アイハラ氏(マクロビオティック関係)が翻訳している。この中に出ている写真を見ると、モデルの女性が畳に正座し、柏手(あるいは合掌)してから始めるとか、何だか妙な写真が載っている。この本は今年のはじめに再販されたらしいが、私が持っているのは初版の中古だ。この中に「肩を治すには足首を治せばいい」という下りがあるが、そこには前の持ち主の書き込みがあり「?」と書かれていた。患部に直接手をかける、そういう診方しかしていないのだ。痛いところ、患者が訴えているところに手をかけるのは、火事の際にサイレンに水をかけているようなものであり、火元を消火しなければ原因は消えない、ということを理解していなかったのだ。
もう一冊は、写真解説集「SOTAI Balance and Health Through Natural Movement」の英訳がある。これは一時期入手困難だったが、最近は古書を米国Amazonで買えるようだ。
海外では、手技療法家がこの本を読んでいるようだが、テクニックに偏っているという気がしてならない。何故ならこの本には「息食動想」や、橋本哲学、般若身経の詳細などは載っていないからである。
あともう一冊。スペイン語で出ている本がある。これは、奥さんが日本人のスペインの方が書いていると聞いた。夏休みに埼玉の根本良一先生のところに二週間行って勉強したそうだが、たった二週間習っただけで、スペインでビデオや本を出しているらしい。
また、その方は「自分こそヨーロッパでの操体の正統な継承者だ」と言っているそうで「Nemoto」をたまに名乗ることもあるらしい。二週間習っただけで「正式な継承者」とはコメント、これはスペインの方から聞いた話である。
なお、根本良一先生は三浦先生から操体を習っている。「ヨーロッパでの操体の正統な継承者だ」と言っている彼は、自分の師匠である根本先生の師匠、三浦先生の講義を聴きに登場するのだろうか。


畠山裕美


8月28、29日は大徳寺玉林院にて「東京操体フォーラム in 京都」開催
9月18、19日スペイン、マドリードにて「操体フォーラム in マドリード」開催
2010年操体法東京研究会定例講習は9月から始まります。